衣替えで肌の露出が増える6月は痴漢が多発…実態を知る

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 毎年6月は関東エリアのJR東日本、西武や東武などの私鉄各社、東京メトロが警察と連携し、「痴漢撲滅キャンペーン」を実施している(今年は15日まで)。衣替えで肌の露出が増えるためか、被害届も年間で最も多くなる。元警視庁刑事で防犯コンサルタントの吉川祐二氏は「現役の頃、この時期は毎朝、署内でサラリーマンが連行されている姿を見ていました」という。娘が被害に遭わないためにも痴漢の実態を知っておきたい。

 ◇  ◇  ◇

 痴漢の被害者の99%が女性といわれるが、「セコム」が10~30代の女性を対象に実施した「女性の『安全・安心』に関する意識調査」(2020)によると、「痴漢に遭ったことがある」女性は5人に1人。しかし、一般的に被害者の9割は泣き寝入りしているという。

 娘や孫がそのひとりだとすると怒りがこみあげてくるが、警視庁の「都内における性犯罪の発生状況」によると、2019年の痴漢(迷惑防止条例違反)の検挙数は約1780件。うち45%が電車内で、続いて19%は駅構内、10%が店舗内、9%が路上となっている。

 新型コロナによる外出自粛や時差通勤などの影響もあり、昨年の電車内の痴漢は約250件、今年も4月末までで約70件と大幅に減少しているが数字に表れる痴漢被害はもちろん氷山の一角。人流が戻れば、再び増加に転じる可能性がある。

 日本は世界でも「痴漢が多い国」とみなされている。英国政府のウェブサイト「海外旅行アドバイス」に、〈通勤電車内の女性乗客への不適切な接触がかなり一般的である〉と記されているし、カナダ政府の「安全」欄でも、〈朝夕の通勤時間帯に混雑した地下鉄や電車の中で不適切な接触があるかもしれません〉と注意喚起されているのだ。

痴漢行為を反復してしまうのは、コントロール障害の一種

 では、どんな男が痴漢をしているのか――。

 専門家によると、単純な性欲ではなく、ストレス発散の一環としての行為のため、執拗に繰り返すのだという。

「自分よりも弱そうな女性が嫌がっている姿を見て“支配”していることに満足し、支配欲求を満たします。衝動を制御できずに痴漢行為を反復してしまうのは、コントロール障害の一種(窃触障害)です」(明大講師の関修氏=心理学)

■「がんばった自分へのご褒美」に尻や胸を触る

 この場合、被害者への想像力も働かないため、加害者であるという当事者意識もない。「仕事を頑張ったご褒美に痴漢をする」という会社員もいるという。きっかけも、電車内で偶然に触れてしまったのがきっかけで、成功体験からスリルを求めたり、「他人の痴漢行為を目撃し、自分にもできると思った」といったもの。魔が差せば、誰でも当事者になる可能性がある。

「酔って気が大きくなり、帰宅時の電車で痴漢行為をして留置場でも大騒ぎしているのですが、朝になって酔いが覚めると、『会社に遅れるのですが?』と不思議そうに問いかけてくるケースを多く見かけました。迷惑行為をしたこと自体はなんとなく覚えはあるものの、『ちょっと触れただけ』という認識で、なぜ自分が逮捕されたのか理解できていない」(前出の吉川氏)

■男がわざとぶつかってきたら要注意

 一方、加害者は女性をどうやって選んでいるのか――。

「『たまたま目の前にタイプの女性がいた』というケースもありますが、痴漢は必ず『この人は泣き寝入りするか』を確かめています。行為の直前に“わざとぶつかる”のが多いですね。その際の反応を見ていて、加害者が『すみません』と言ったときに黙っていたり、伏し目がちにしている女性を選ぶと聞いています。不審な男性がいたら、目をまっすぐ見るだけで相手がひるむ可能性があります」(前出の吉川氏)

警視庁公認の痴漢撃退アプリ「Digi Police」

 そこで、スゴ腕の痴漢撃退アプリを活用したい。「Radar―z(旧・痴漢レーダー)」がそれで、痴漢を匿名で通報できる。ダウンロードしてみると、駅や電車内の痴漢行為を詳細にリポート。痴漢が発生したエリアの地図に印が付いていて、「期間」を選ぶと、その間に発生した事案を読むことができる。

 例えば、東京駅では、〈発生時刻 3月3日9時半 被害者情報 女性20代 加害者風貌 60代くらい、黒髪、禿げかけ、黒のダウン、デニムパンツ、ダークブラウンの革靴、ブラウンの眼鏡 被害詳細 痴漢ではなく視姦です。瞬きも殆どせずに私の脚をずっと凝視してきました。勘違いかと思い、座席を横に3人分移動しましたが、それでも顔の向きを変えて凝視してくるので確信犯です〉とつづられている。 ほかにも、〈青色の肩掛けバッグを持った白髪短髪の小柄な男 女子高生のおしりの下に手を入れていた〉といった第三者の目撃情報なども報告されている。加害者は執拗に痴漢行為を繰り返すため、被害エリアや犯人の特徴を共有できるのが強みだ。

 また、Bluetoothを使って近くの人にSOSを送信できる痴漢防止アプリ「Don’t Worry」、警視庁公認の防犯アプリ「Digi Police」は画面右下にある「痴漢撃退」をタップすると、「痴漢です。助けてください」という文字が表示され、さらにもう一度タップすると、「やめてください!」と音声が流れ、周囲の人に助けを求めることができる。

 鉄道各社の「痴漢撲滅キャンペーン」の今年の標語は〈知らない人だけど、知らないふりはしない。〉というもの。周囲にいて被害を見かけた人も「どうしました?」と積極的に声を出したい。 さらにオリンピックのセキュリティー対策として、電車内の防犯カメラ数が激増している。JR東日本の通勤車両の場合、基本的に1車両には4台のカメラを設置。ほぼ車両内の全景をカバーしており、画質もいい。確実に“証拠”が残っているので、被害者は何も恐れず駅係員や警察官に声を上げたい。また、痴漢被害の悩みや相談電話は「#9110」でも受け付けている。

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