NY州の資格持つ日本人弁護士「小室圭さんが働きながら勉強していても上司は大目に見てくれない」

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山中眞人(弁護士)

 婚約内定から4年以上の歳月を経て、ようやく入籍した秋篠宮家長女の眞子さんと小室圭さんは、米ニューヨークに拠点を移した。ところが好事魔多しで、圭さんは7月に受験したニューヨーク州の司法試験に不合格。法律事務所でロークラーク(法務事務員)として働きながら、来年2月に再チャレンジすることになるが、メドはどうなのか。国内で実務経験を重ねてから渡米し、3度目の挑戦でニューヨーク州の資格を取得したベテラン弁護士に、司法試験の受験事情などを聞いた。

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■基礎に不安はないが浪人生活を1年送る可能性

 ――山中さんはニューヨーク州、ワシントンDCの弁護士資格を取得しています。ニューヨーク州司法試験の難易度はどうですか。

 難易度が高いといわれる日本の司法試験とは性質が異なります。法律の勉強をしている米国の学生にとっては、運転に必要な運転免許のようなもので、基礎が問われる試験です。そのため、ロースクールを卒業する5月から試験のある7月までの間に、必死に勉強してパスするケースが大半です。日本のように何年も司法浪人を続ける人はまれです。とはいえ、英語を母語にしない外国人にとっては簡単な試験ではありません。運転免許の試験が全部英語であることを想像すれば、お分かりいただけると思います。

 ――小室さんが受験した7月の試験の合格率は、受験者全体で78%なのに対して、外国で教育を受けた受験者は46%です。

 ネーティブとの英語力の差は当然大きいと思います。まず外国人は問題を読むスピードが遅く、エッセー(小論文)も米国人の半分も書けないのが普通です。制限時間はアメリカ人と同じなわけです。また専門用語が分かっていても、一般的な単語でつまずくケースが出てきます。例えば配管工を意味する「plumber(プラマー)」という単語が分からないと問題に詰まってしまうように。ほかにも、米国人であれば誰でも分かる人名、現地の地理感覚がつかめないと解けない問題など、つまずきやすいポイントはたくさんあります。

 ――英語力だけでも通らないと。

 外国人が合格できない場合のもうひとつの理由が、米国の法律の基礎が理解できていないケースです。語学力の問題だけであれば過去問を繰り返し解くことで対応できますが、基礎知識は数カ月程度の勉強だけで身につけるのは難しいでしょう。また、米国は州によって法原則が異なり、米国と日本では概念や発想が違うので、それを理解するのに苦労します。ただ、小室さんはロースクール在学中の3年間でLLM(法学修士)からJD(法学博士)に転籍しているので、基礎は身についているはずです。

 ――日本で司法試験に合格している人と、小室さんのように米国で初めて司法試験を受ける人では有利、不利というのはありますか。

 あると思います。米国と日本では考え方が違いますが、試験勉強という点では感覚は同じです。しかも、日本の弁護士は日本の司法試験をパスしているという自信が根底にあるので、それがあるかないかでは大きいのではないでしょうか。私の場合、弁護士として10年ほど実務経験を積んでから、米国のロースクールに入学しています。外国人の場合、1年程度の研修期間を除けば、現地で働き続ける人は少なく、「ハク付け」のために現地の司法試験を受ける人も多いのです。私自身も落ちてもいいと軽い気持ちで1回目を受けました。しかし、いざ落ちると悔しくて、働きながら勉強して3回目で合格しました。

優秀なロークラークには仕事が殺到します

 ――現地の法律事務所で働きながらの試験勉強は、どれくらい大変なのでしょうか。

 私のクラスメートに英語が流暢な台湾人がいました。小室さんと同様、ロースクール卒業後の1回目は落ちて、ロークラークとして働きながら勉強していました。ところが、上司から依頼された膨大な判例や文献調査などで、あまりに仕事が忙しくて勉強時間が確保できず、2回目の試験(2月)も落ちてしまい、3回目でようやく合格しました。働きながら勉強しているからといって、上司は大目に見てくれません。ロークラークでも優秀な人には仕事がどんどん集まってきて、無能だと思われると仕事が来ない厳しい世界です。忙しいほうが評価されていることになり、当然給料も上がります。そのため、働きながら受ける人の多くは試験直前に休みを取って、まとめて勉強するしかありません。

 ――山中さんはどうしていましたか。

 私は家で勉強がはかどらないタイプで、平日は仕事終わりにスターバックスに寄って2~3時間ほど勉強していました。土日は丸一日、カフェか図書館で勉強していましたが、仕事のことも考えながらなので、大変だったことを覚えています。小室さんの場合、カフェで勉強するわけにはいかないと思うので、家以外の勉強場所の確保に苦労しそうですね。

 ――米国の試験対策の予備校は日本のものと随分違うそうですね。

 米国にも司法試験の予備校がありますが、日本の予備校ほど細かい受験対策をしてくれるわけではありません。そのため、知らず知らずの間に間違った方法で勉強している可能性もあります。日本人の歴代LLM生の間で代々引き継がれる“攻略本”のようなものがあり、そこには米国と日本の法律の概念の違いなども詳細に記されていて、毎年アップデートされているはずです。小室さんがLLM生時代にこれを入手しているかいないかで、合格のしやすさは変わるでしょう。

米国は“身元保証社会”なのでコネは当然、ただし…

 ――小室さんについて、「次回(2月の試験)は前回落ちた科目だけを受験すればいいので大丈夫」と話す専門家がいますが、実際のところはどうでしょうか。

 落ちた科目だけ受験すればいいということはありません。2回目、3回目でも、全科目を受けなくてはいけません。しかも、2月は7月よりも合格率が低い傾向にあり、肌感覚から言っても問題の難易度は変わらないものの、2月は合格者が絞られている印象があります。しかも2月まで時間がないので、私が小室さんの立場なら、7月の試験に照準を定めて勉強をすると思います。当然、事務所の経営者には7月の試験まで待ってほしいと伝えて、了承を得なければいけませんが。私に依頼があれば、受験指導をして差し上げます(笑い)。

 ――2月の試験に再び失敗した場合、勤務先を解雇される可能性は高いですか。

 それは経営者次第だと思います。ただ、仮に3回目まで許されたとしても、そこで不合格なら解雇される可能性は高まると思います。

 ――ロースクール入学から就職まで、日本のプリンセスのフィアンセであるため、小室さんは特別扱いされているとも言われていますが。

 米国は“身元保証社会”(身元の確実性が保証される方が有利になる社会)でもあるので、当然、コネは通用します。使えるものは何でも使いますし、「それの何がいけないの?」という感覚です。米国の大手法律事務所には、各国首脳の親類縁者がそれなりにいます。ただし、それが通用するのは入り口までです。ロイヤルファミリーの親戚であれば、クライアントにアポが取りやすいなどの強みがあるでしょうが、実力がないと評価されれば、当然解雇もされます。ただ、司法試験に関してはこうした特例は通用しないと思います。実際、私が受験した時、不合格者同士が慰め合う中で、ヒラリー・クリントンもワシントンDCの司法試験に落ちているなんて話がありましたから。

(聞き手=伊藤洋次/日刊ゲンダイ)

▽山中眞人(やまなか・まさと)1973年、東京都生まれ。95年、早大法学部在学中に司法試験合格。98年、弁護士登録。10年ほど実務経験を経て、09年に米ペンシルベニア大ロースクールLLM課程修了。11年、ニューヨーク州弁護士、17年、ワシントンDC弁護士に登録。09~12年に、マンハッタンで大手法律事務所ほか、日系金融機関に勤務。現在、狛・小野グローカル法律事務所パートナー。

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