【Q】冷蔵庫のもやしで女房と大喧嘩。罵詈雑言、そこまで言うか
コロナ下の出張がひと息ついて、家に10日間こもっていたことが始まりです。冷蔵庫を開けて夕飯を用意しようとした妻が「もやしが腐ってしまった」と呟きました。ムダにしたなと思ったので「何してるんだよ」と怒ると「アンタはいいよね。外でうまいもの食べて飲んで帰ってきて、家では寝っ転がってるばかり。家事は全部私」と反撃され、「満足に生活費も渡さないくせに」の罵詈雑言も。そこまで言いますか。やるせません。 (50歳)
【A】どう転んでも勝利をおさめることない相手 自爆テロ同様無謀です
前にもお話ししましたが、かつて私は女房ドノに対し、「嘘つき」との言葉を放ったことがありました。ほんの出来心で深い意味はありませんでしたが、女房ドノは黙って聞き流すことはなかったのです。それまでの穏やかな表情を一変させ、別人のように怒りを顔に浮かべ、次のような言葉を言い募ってきました。
「嘘つきというけどアンタには負けるわよ、前科は少しだけあると言ったけど、“少し”どころの騒ぎじゃなくって7犯もあったじゃないの、嘘つき。これまでいろいろな人間を見てきたけど、7犯なんていうロクデナシは初めて見たわよ。借金の方も“それほどの大金ではない”なんて言って、50億もあったじゃないの。悪質極まりないというか、アンタはAVの帝王どころか“嘘つきの帝王”じゃない。実家の“家”があるというから一緒に行ったら何、アレ。家どころか掘っ立て小屋じゃないの。その上、息子が生まれる前に田舎の実家に帰っていた私のところに『出産費用は必ず送るから』と約束したのにいつまで経っても送ってこずに、両親から“いったいおまえはどういう男と結婚したんだ”となじられたことは一生忘れない。それに、中に出さないから大丈夫だよと嘘をついて“中出し”したのはどこのどちらさまだというのよ、それに……」
と、なおも女房ドノは言葉を続けようとしましたが、私は両手をついて「悪かった、嘘つきはあなたでなく私の方です」と白旗を揚げました。
この経験から今後一切女房ドノには口答えをして反抗することのないようにと自分に誓ったのです。
いろいろ奥方の言い分にご不満を持たれているようですが、客観的に見ればいちいちごもっとものご意見で、あなたさまには勝ち目がないように思われます。どう転んでも勝利をおさめることのない相手に戦いを挑んでいくことは自爆テロのような無謀なことです。奥方を相手に口喧嘩をして勝利を手にしたご亭主を知りません。
1985年、男女雇用機会均等法が制定されてから、時代は大きく変わりました。女性は経済的に自立する方法を手に入れ、男尊女卑の昭和の時代は終わりを告げたのです。もはや亭主関白などという感覚でいい気分になっていてはこれから先の結婚生活は立ち行かない時代を迎えているのです。意地を張っていつまでもイキがっていては、いずれ奥方に「傲慢でうぬぼれ屋さんの見えっ張り」と三くだり半を突きつけられることになりかねません。
人類の歴史は強い者ではなく変わることのできた者だけが生き残れたことを教えてくれています。
人生では自分が望むように評価されることはほとんどないのです。どうか奥方の底力を侮ることなく、負けるとわかっている戦いに挑む愚かな道を選ぶことのなきよう、祈っております。
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