更年期障害に苦しむ8割の女性が受診せず我慢…夫の「今まで通り」と埋まらない溝
ウチのカミさん、最近イライラがひどくて──中高年の世間話でこんな内容がテーマになると、更年期障害をイメージするかもしれない。このほど厚労省が初めて更年期障害について調査したところ、女性がかなりガマンを重ねている実態が浮き彫りになった。
◇ ◇ ◇
更年期は、女性の閉経前後で、一般に40代後半から50代前半を指す。その期間に女性ホルモンの分泌が上下動を伴いながら減っていき、それによってほてりや発汗、動悸、頭痛、冷え、疲れやすさなどの身体症状のほか、イライラ、意欲低下、うつなど精神症状が現れるのが更年期症状で、それらの症状で日常生活に支障をきたすのが更年期障害だ。
男性も、40代くらいから男性ホルモンの分泌が減り、女性と同じような症状に加え、朝勃ちの回数や性欲の低下、ヒゲの伸びが遅くなるといった症状も見られる。男性の場合、女性と区別してLOH(加齢男性性腺機能低下)症候群と呼ばれることもある。
どちらもなんとなく耳にしたことはあるかもしれないが、厚労省の調査結果はそうではない現実を突きつける。対象は、20~64歳の女性2975人と男性2025人の5000人。今年3月末にネットで行った。
意外なのは、更年期障害についてある程度、予備知識があると思われる女性の結果だ。更年期障害の可能性があると考えている女性の割合は、40代が3割、50代が4割。驚くのはそこからで、症状が1つでもある人に受診の有無を尋ねると、40代、50代とも8割が受診していなかった。
前述した症状は、個人差が大きく嵐のようにつらい毎日を過ごす人もいれば、閉経前と変わらない程度の人もいる。更年期障害を疑った3~4割が、どれくらいの症状かは不明だが、みな“ベタ凪状態”とは考えにくく、未受診の8割の中には、ガマンを重ねている人が相当数いるはずだ。