「サンモニ」ディレクターから転身 セカンドキャリアに「保育士」を選んだワケ
60歳以上の保育士さんが増えている。慢性的な保育士不足もあるが、定年を迎える60歳にあたって「子どもと関わる仕事がしたい」という人が増えているのも要因だ。この春から「ナーサリーホーム小仲台」(運営・在宅支援総合ケアーサービス)で働く進藤昭人さん(61)もその一人。前職はテレビ制作会社のディレクターだった。 (インタビュー=加藤広栄/日刊ゲンダイ)
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■「サンデーモーニング」元ディレクターだった
「忙しいけど、とにかくテレビの仕事はおもしろかった。TBSの『サンデーモーニング』のディレクターだった頃は、電話一本で誰とでも会えるし、大学教授にだって話が聞けます。手作りフリップもつくっていましたし、この先、これほどおもしろいことはあるかと考えた時、それが『保育士』でした」
きっかけは、取材先で出会った保育士の働く姿だったという。
「もう10年くらい前のことです。大学生向けの発達心理学のDVD制作の仕事で保育園を長期に取材したのですが、子どもたちを叱ることなく諭したりする保育士さんたちの姿を見て、なにか崇高な仕事だと感じました。その時は保育士になろうなんて思ってもいませんでしたが、60歳の定年を迎えるにあたって、ふとあの時の記憶がよみがえってきた。ずっと頭の片隅にはあったんでしょうね。
継続雇用で会社に残ることもできましたが、後輩たちに煙たがられるのも嫌ですし、給料だって同じ仕事をしても新人並みに戻る。『だったら、本当に新人に戻って仕事をしたらいいんじゃないか』と思いついたのです」