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田中幾太郎ジャーナリスト

1958年、東京都生まれ。「週刊現代」記者を経てフリー。医療問題企業経営などにつ いて月刊誌や日刊ゲンダイに執筆。著書に「慶應幼稚舎の秘密」(ベスト新書)、 「慶應三田会の人脈と実力」(宝島新書)「三菱財閥 最強の秘密」(同)など。 日刊ゲンダイDIGITALで連載「名門校のトリビア」を書籍化した「名門校の真実」が好評発売中。

「医学部予備校は必要なし」でも“別格”と称される「鉄緑会」に陰りが見え始めた理由

公開日: 更新日:

■開成、桜蔭、筑駒など、13の中高一貫校は入塾テストが免除

 国公立大医学部や私大医学部の上位校でもたくさんの合格者を出している鉄緑会だが、前出の元経営者は「教育システムが優れているといっても、想像の範囲内」と話す。高い実績を残してきた理由は「入ってきた時からすでに生徒たちは勉強の仕方を知っている」(鉄緑会元講師)というのが大きい。入塾のハードルが非常に高く、デキる生徒が集まっているのだ。

 入塾テストは年に4回、英語と数学で行う。数学はかなりの難問が出題され、多くの受験者が振り落とされる。ただ、こうしたテストを経ないで入ってくる生徒もいる。開成、桜蔭、筑駒など、鉄緑会が指定する13の中高一貫校の生徒は中学入学時の4月に入塾する場合はテストを免除される。

「中学受験で合格を勝ち取ったばかりの時から指導すれば、理Ⅲをはじめ難関大も可能という鉄緑会側の自信の表れ。まさに"鉄は熱いうちに打て"です」(元講師)

 だが、圧倒的なナンバーワン塾も最近は陰りが見えだした。鉄緑会(代々木1拠点)からの23年度の理Ⅲ合格者(一般入試定員97人)は36人。凄い数字ではあるが、過半が当たり前だった鉄緑会としては物足りない。

「07年にベネッセコーポレーションに買収されて以降、経営に重きをおくようになり、少数精鋭が崩れつつある」と元講師は懸念する。今後、医学部受験の勢力図が塗り替わるかもしれない。

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