なぜ40~50代に参政党がウケたのか? 参議院選挙の"もうひとつの争点"、氷河期世代の本音
参政党支持者の42%が氷河期世代
2025年参院選で争点のひとつに「就職氷河期世代」の支援策もかかげられた。
1993年から2005年にかけて社会人となった現在40~50代の彼らは、1990年代初頭のバブル崩壊後に就職活動を迎えた。長期間にわたって非正規雇用や低賃金に苦しみ、総人口の6分の1に迫る1700万~2000万人規模とされる。
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今回、与党が過半数割れした原因も彼らの動向が影響していると分析され、例えば大躍進を果たした参政党は朝日新聞の出口調査によると、支持者の42%を40~50代が占めたという。
また、就労や住宅などに関する手当をかかげた国民民主党も30代以下に次ぎ、40代でも高い支持を得ている。
世代ラベリングによる弊害
ちなみに、就職氷河期世代をはじめ、この〜世代という呼び方は、1953年に写真家ロバート・キャパが「ジェネレーションX」という言葉をフォトエッセイで使ったのが起源とされ、日本では「団塊の世代」(堺屋太一の小説が元)をはじめ、「バブル世代」など社会現象や経済状況と紐づけて呼称が作られるようになった。
あくまでも、社会現象を分かりやすく説明するために使われているのだろうが、ひとくくりにラベリングされた側はたまったものではない。「就職氷河期世代」としてラベリングされ、生きづらさを感じたフリーライターはこう嘆く。
「周りを見渡すと、自分の苦労や現状は世代のせいとか、どうせ何をやっても生まれた世代が悪いからと愚痴る同世代人が多い。成果は個人の努力次第だと思うが、その世代であることを頑張らない言い訳に使っているように見える。また、その世代に属するだけで、そうした無気力な人間と見られがちなのも心外だ」
なぜ氷河期世代が参政党を支持した?
しかしなぜ、氷河期世代の多くが参政党を支持するに至ったのだろうか。 明治大学講師の関修氏は、支持者の実像について興味深い分析をする。
「参政党の支持者は実は『お金持ちの就職氷河期世代』なんです。本当に生活に困っている人は共産党や社民党を支持する。参政党はオーガニック食品など高額商品を好む層が集まっており、絶対的貧困ではありません」
関氏によると、この層は長年「本当に困っている非正規雇用者と自分達は違う」という優越感を保ってきたが、物価高と外国人観光客の増加で心理的バランスが崩れたという。
自分たちの優越感が脅かされた
「外国人が銀座でブランド品を買い漁り、高級ホテルに泊まる姿を目の当たりにして、自分たちの優越感が脅かされた。生活保護受給者を叩くのはプライドが傷つくから、外国人という『都合の良いスケープゴート』を求めるようになったのです」(関修氏)
もちろん、本当に困っている「就職氷河期世代」には救いの手を差し伸べなくてはならない。1700万人の巨大票田とどう向き合うかが、今後の政治の焦点となりそうだ。
(コクハク編集部)