コメ増産の切り札として注目「再生二期作」の理想と現実…土地がやせ細るネガティブ要素も
7月6日までの1週間で販売されたコメ価格は5キロあたり3602円と前週比70円安で7週連続の下落となった。備蓄米の効果が出始めている中、今年収穫の新米の注文が通販サイトやふるさと納税仲介サイトで始まっている。
だが、依然として在庫の枯渇感、値がさ感は解消されていない。そこで、石破茂首相がぶち上げたコメ増産を後押しすると言われるのが「二期作」だ。
二期作とは同じ田んぼから年間2回収穫を行うもので、温暖化を逆手に西日本などで実証実験が行われ、全国的に広がりを見せている。中でも注目されているのが「再生二期作」というもの。
従来は春に田植えをし、夏に1回目の収穫をした後、再度田植えを行い秋に収穫するが、再生二期作は1回目の田植え分を夏に収穫後、同じ株から伸びてくる二番穂を実らせることで秋に2回目の収穫を行う。これにより田植えのコストや手間をかけずに二期作が実現できるが、果たして増産に寄与するものなのか。
「単純にコメを増やしたいだけであれば多少増産に貢献しますが、問題は味です。いくら追肥をしたところで1回目よりも確実に食味が落ちます。ただ、加工用途米や肥料用途米を補うものとして栽培するのであれば機能すると思います。それでも、収穫量は多くて1回目の2割以下といったところ。早場米の産地である石垣島ではすでに行われていますが、北海道など寒いエリアでは難しく、新潟のようなブランド産地ではやりたがらない農家が多いのが現実です」(米流通評論家・常本泰志氏)