どの病院でも便秘と診断されて…岡野あつこさん大腸がん手術を振り返る
岡野あつこさん(夫婦問題カウンセラー/70歳)=大腸がん
最初に異変があったのは2016年のゴールデンウイークでした。群馬に行く用事があって「さぁ出掛けるぞ」というときに、いきなり吐き気と下痢に襲われたのです。七転八倒して5時間トイレから離れられませんでした。でも、その後は体調が回復したので大遅刻しながら群馬に向かい、事なきを得ました。
ただ、そこから何か食べると具合が悪くなる日が続き、便秘かつ食べられない状態になりました。近所の病院を受診したら「便秘ですね」と便秘薬が処方されるのですが、一向に効きません。
別の病院にも数カ所行ってみましたが、胃腸薬や痛み止めが処方されるばかりでまったく改善せず、体重はガタ落ち……。おまけに私が受け持つカウンセラー養成講座の授業中に大音量でお腹が鳴るようになってしまい、とうとう大きな総合病院の消化器内科を受診しました。ところが、そこでも「便秘です」と言われて便秘薬が処方されたのです。
便秘ならばいっそ便秘専門の病院へ行こうと、赤坂にある有名な便秘外来を受診して血液検査をしました。すると、炎症反応を示す値が異常に高く、「大きな病院へ行ってください」と言われました。紹介できる病院は2カ月先の受診になると聞き、早く受診できる病院を探して予約を入れたものの、その前に激痛が来て救急車を呼ばざるを得なくなったのです。
救急車の中で私はかかりつけの東京女子医大か慶応大学病院を希望したのですが、どこもベッドがいっぱいで、救急隊に説得されて新宿の総合病院に運ばれました。すでに宿直の先生しかいない夜間のことです。
レントゲンと血液検査の結果「腸閉塞です」と、今までどこからも言われなかった病名を告げられました。そして即入院となり、翌日にはCT検査により「大腸がん」が発覚し、腸閉塞を併発していることが判明。画像から大腸がんはステージ3Aと診断されました。ステージ3は転移があることを示すもの。これまでずっと大腸がん検査を避けてきたことを後悔しました。
即、絶飲食になり、腸内を空にするまで1週間ぐらい便をためる袋をぶら下げて生活しました。先生が1日1回、便の出具合を見に来るのです。私はまぁまぁずうずうしい方ですけど、さすがに恥ずかしくて病棟を散歩することもできないでいました。すると、やさしい看護師さんが紙でカバーを作ってくれてありがたかった。
私の周囲で大腸がんになったという話は聞いたことがなかったのですが、自分が公表したら、「私も」「じつは私も」と、たくさん声が聞こえてきました。やはり少し恥ずかしいイメージがあって、他人に言いにくい病気なのだなと改めて思いました。