故・伊良部秀輝は純粋で素直。マスコミが報じた粗暴なイメージとは違った素顔を持っていた
元巨人の橋本清氏による「僕だけが書けるスター選手の真実」(第16回=2004年)を再公開
日刊ゲンダイではこれまで、多くの球界OB、関係者による回顧録や交遊録を連載してきた。
当事者として直接接してきたからこそ語れる、あの大物選手、有名選手の知られざる素顔や人となり。当時の空気感や人間関係が、ありありと浮かび上がる。
本企画では、そうした過去の名連載から一編をピックアップして再掲載。「彼女は?」「離婚した?」「在日?」「不倫報道の真相は?」「子供は?」「性格や素行は?」――といったネットにあふれる真偽不明なまとめ情報よりも、“確かな人物像”を映し出す。
前回に引き続き故・伊良部秀輝について綴られた、元巨人の橋本清氏(評論家)による「僕だけが書けるスター選手の真実」(第16回=2004年)を再公開。年齢、肩書などは当時のまま。(※この項は全4回。今回はその③)
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「実はこの前、金田さんに電話したんや」
伊良部にそう聞いたのは、今季の開幕直後のことだった。今季の伊良部はオープン戦から調子が上がらず、4月13日の広島戦でKOされて二軍落ち。二軍で再調整を始めた途端、今度は左足を痛めた。周囲では限界説がささやかれるなど、まさにドン底だった。