看取りの時間をきちんと説明するのも獣医師の仕事
「カーター先生からは『年齢から何もしない選択肢もあり』との説明をいただきましたが、あきらめきれずに転院して手術をしてもらいました。転院先ではできる限りのことをしてくれましたが、カーター先生のようなこと(お花)はしてくれませんでした」
■治療を続けるのも緩和治療にとどめるのも…
終末期や重症になり、どこまで治療し、飼い主さんとペットとのお別れの時間を設けることは、われわれ獣医師にとって大切な仕事のひとつだと思います。適切なタイミングで治療の説明はしますが、最終的に決断するのは飼い主さんで、われわれが価値観を強制することはできません。あきらめずに治療を続けるのも、頃合いをみて緩和治療にとどめるのも、飼い主さんがその子にしてあげたいと思ったことなら、どちらも正解です。
しかし、看取りができるタイミングを説明せずに、飼い主さんを治療に走らせようとするのはどうでしょうか。2番目の電話の飼い主さんは、看取りができなかったことを悔やんでおられましたから。
この連載は今回で終了します。2年半近くにわたってご愛読くださり、ありがとうございました。もしこの連載の内容に共感された方が少しでもいればうれしい限りです。連載は終わりますが、病院は今後も東京・三軒茶屋で営業していますから、ワンちゃんやネコちゃんのことで心配なことがあればぜひ受診してください。 =おわり
(カーター動物病院・片岡重明院長)