ノウハウに基づく診療が増加傾向…「エビデンス」を信じると高くつく

公開日: 更新日:

 私は元々、動物薬などの安全基準を検査、調査する研究所に在籍していたので、臨床獣医師になって30年ほど。いまこうしてやっていられるのは、ひとえに臨床に転じた当時、指導していただいた師匠のおかげです。

 当時は、師匠の手技をひたすら見て覚えるスタイルで、質問は何でもOKでした。その繰り返しで師匠が「○○術はできそうだ」と判断すると、「やってみるか?」といわれ、その手術を師匠のサポートを受けながら担当します。

 臨床獣医師として初めての手術は、私が里親となった子猫2頭の避妊手術でした。師匠が助手の位置についてくれたことで1頭目を無事に終了すると、「大丈夫だね」と別室で休憩。ベテランのもうひとりが麻酔管理はしてくれていましたが、何かあればフォローしてくれるはずの師匠がいない。ビビりつつも何とか手術を終えて師匠の元へ。

「ひどいじゃないですか。何で見ていてくれないんですか。もし何かあったら……」

 師匠に怒りをぶつけると、こう言われました。

「わが子を預けた飼い主さんはいつもそう思っているんだ。その気持ちを忘れずに」

最新のライフ記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    出家否定も 新木優子「幸福の科学」カミングアウトの波紋

  2. 2

    中学受験で慶応普通部に進んだ石坂浩二も圧倒された「幼稚舎」組の生意気さ 大学時代に石井ふく子の目にとまる

  3. 3

    さすがチンピラ政党…維新「国保逃れ」脱法スキームが大炎上! 入手した“指南書”に書かれていること

  4. 4

    ドジャース「佐々木朗希放出」に現実味…2年連続サイ・ヤング賞左腕スクーバル獲得のトレード要員へ

  5. 5

    ギャラから解析する“TOKIOの絆” 国分太一コンプラ違反疑惑に松岡昌宏も城島茂も「共闘」

  1. 6

    中日からFA宣言した交渉の一部始終 2001年オフは「残留」と「移籍」で揺れる毎日を過ごした

  2. 7

    有本香さんは「ロボット」 どんな話題でも時間通りに話をまとめてキッチリ終わらせる

  3. 8

    巨人は国内助っ人から見向きもされない球団に 天敵デュプランティエさえDeNA入り決定的

  4. 9

    放送100年特集ドラマ「火星の女王」(NHK)はNetflixの向こうを貼るとんでもないSFドラマ

  5. 10

    佐藤輝明はWBC落選か? 大谷ジャパン30人は空前絶後の大混戦「沢村賞右腕・伊藤大海も保証なし」