「高齢ペットの治療」では、根治を目指すとお別れができなくなるリスクも

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 小型のワンちゃんやネコちゃんの平均寿命は15歳前後といわれますが、最近は飼育環境や獣医医療の向上などで寿命が延びて、17、18歳くらいまで元気なことは少なくありません。ペットも高齢化が進んでいます。

 そこで重要なのが、シニアの治療です。端的にいえば根治を目指して積極的に治療するか。あるいは、病気はあっても穏やかな看取りのため維持療法にとどめるか。そんなことを改めて突きつけられる事例があったので紹介します。

 14歳のワンちゃんは昨秋から胃拡張に伴う不調で7~10日くらいの間隔で治療しながら状態は維持、安定していました。実は、エコー検査から胃の一部が厚くなり、胃壁や筋層、粘膜などが腫瘍によって肥厚したことが疑われていました。

 しかし、それを確定診断するには、麻酔下でのMRIや内視鏡検査が不可欠。14歳のシニアであることを踏まえると、検査そのものの負担が重い。しばらくして腎機能も低下し、麻酔下での検査を耐えうる状況でなくなりました。

 そうした判断で体調を下げないように自宅で毎日過ごしてもらい、胃腸障害が現れたときのみ点滴治療で4~5時間ほど預かって、自宅に返していました。入院はせず、万が一のときも看取りやお別れができるように、との思いです。

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