【緊急連載#2】重要なのに欠けている「家族再結合」支援
「家庭を立て直す仕組み」がない
一方、日本は「子育てを担うのは家族」「親が頑張るべき」という文化が根強く、公的介入は限定的だ。児童養護施設中心の文化だけが発展し、「家庭を修復して戻す」よりも「まずは安全な場所で育てる」という効率的な流れが優先された。
何より児相の現場は緊急対応に追われやすく、再統合支援まで手が回らない。「子どもを保護する仕組み」はあるものの「家庭を立て直す仕組み」がないのが現状だ。「家庭に外部が深入りしない」という文化もある。欧米ほど家庭療法や親教育、カウンセリングなどが制度化されていない。
虐待が起きにくい家庭をつくる支援には本来、精神科医療、福祉施設、学校関係、就労支援などの横断的連携が必要だ。しかし、日本の行政は縦割りが強く、連携が難しい。結果として、親の問題が支援されにくい状況が続く。虐待死への強い恐怖、事件後の批判に耐える行政構造が構築される一方、急増する通告や専門職不足は解消されない。家庭介入に及び腰なため、親支援への政治的優先度の低さが続く。
少子化が進み、ようやく「家庭だけでは限界」という認識が広がってきたが、行政側の腰は依然として重い。目黒5歳女児虐待死事件や札幌2歳女児衰弱死事件などは、全国的な児相の制度見直しにつながったものの、「子どもの過剰保護だった」との批判は死亡事故ほどには政治問題化しにくい傾向がある。阿部事件があらわにしたのは、児童相談所という行政機関の限界でもある。(おわり)=日刊ゲンダイ取材班
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