著者のコラム一覧
大竹聡ライター

1963年、東京都生まれ。早稲田大学第二文学部卒業後、出版社、広告代理店、編集プロダクションなどを経てフリーに。2002年には仲間と共にミニコミ誌「酒とつまみ」を創刊した。主な著書に「酒呑まれ」「ずぶ六の四季」「レモンサワー」「五〇年酒場へ行こう」「最高の日本酒」「多摩川飲み下り」「酒場とコロナ」など。酒、酒場にまつわるエッセイ、レポート、小説などを執筆。月刊誌「あまから手帖」にて関西のバーについてのエッセイ「クロージング・タイム」を、マネーポストWEBにて「大竹聡の昼酒御免!」を連載中。最新刊は「酒好きの記」(集英社新書)

(42)酷暑の午後の涼み酒

公開日: 更新日:

 いきなりグラス半分くらいがなくなってしまうが、まあ、いいさ。温い水を飲むくらいなら、オレは酒が飲みたいのだ。

 開き直って店内を見渡すと、あった、あった、見慣れたイングリッド・バーグマンのポートレートである。『誰がために鐘は鳴る』を観たのはいつ、どこでだったか、はっきり覚えてないのだが、三鷹の名画座である「オスカー」あたりじゃなかったかと思う。そのときの感想は、きれいな人がいるもんだねえ、だった。原作者のヘミングウェイは、私の頭をよぎらなかった。英文科の学生であったのに……。

 この日の2杯目、白州のハイボールは、イングリットに乾杯してから飲むことにした。渇きは、2杯目の途中あたりで落ち着いてきた。そして3杯目は、ウッドフォードリザーブのハイボール。今度は夏目雅子さんの写真に乾杯してから飲んだ。

 ああ、うまい。すっかり汗は引き、渇きも癒えた。日米を代表する美人女優と酌み交わす銀座の午後の涼み酒。たまにはこういう午後があってもバチは当たるまい、と思うことにしている。

【連載】大竹聡 大酒の一滴

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