ジャーナリスト・津田大介さん<中>
二木 情報が氾濫するネットの世界の中で、人々は流されている感じがします。
津田 スマホの普及でネット上にはフェイクニュース、プロパガンダ、金儲けをもくろむ人々が流す情報などがあふれています。問題は、そうした情報を真に受けて影響を受けている多くの人たちですね。そうした人々が現政権を支え、弱者叩きの論調をつくっていくといった事態が起きています。そこに寄与しているのが若者の右傾化という文脈で語られることが多いのですが、若者は右傾化ではなく現状維持の傾向が強まっています。すごく不安定な時代になっているので現状維持になり、現政権を支持するという若者が多い。むしろ、確実に右の方向に振れているのは高齢者なのです。
二木 どういうことでしょうか。
津田 たとえば、石原さんが都知事だったころ、尖閣諸島を都が購入するという話が浮上し、寄付金が14億円集まりましたが、寄付したのはほとんどが高齢者でした。ガラケーからスマホに移行した高齢者が、ネットにあふれるジャンクな情報に触れ、右傾化していく事例が増えています。若者の現状維持思考とネットリテラシーのない高齢者の右傾化が今の状況を下支えしているのです。