不動産コンサル長谷川高氏「コロナショックは逆張りで」
本稿を読んでいただいている皆さまが家路につく頃、南西の空に赤い星が輝いているはずです。それはオリオン座のベテルギウスという恒星です。この星が今、天文界では大いに話題になっています。なぜならこの赤き輝きが徐々に失われているからなのです。専門的には赤色巨星といわれ超新星爆発を起こすのではないかともいわれています。実は星にも一生がありまして、若い時は青白く輝き、そして老年期になりますと巨大化し赤くなっていくのです。
なぜこのことを話題にするかと申しますと、この星の運命が今の日本経済と似通っていると思うからです。新型コロナウイルスが中国の武漢で発生し日本のマスコミなどで取り上げられるようになって約2カ月が経ちました。結果、株式市場は大いに荒れています。2002~03年にかけてSARSが発生し、世界的に株式相場が下がりました。この時は約5カ月で株価は回復し、WHOの終息宣言までは約8カ月でした。今回はSARSに比べれば致死率は低いものの、感染者数も死亡者もはるかに多いのが現状です。
更にウイルスの“震源地”、中国の経済的停滞が顕著になってきました。これにより未解決だった不動産バブルという火薬庫に火がつくかもしれません。既にインバウンドの消滅による多大な影響を受けている航空、ホテル、小売りなどの業界だけでなく、今後あらゆる産業において甚大な被害を及ぼすことになるでしょう。仮に国内のウイルス感染問題が終息したとしても、それはあくまでも一元的なものでしかありません。今後発表される各企業の3月末決算は相当厳しいものになり、更には来期の決算予想も同様だと思われます。現在、日銀は、1日当たり1000億円を超えるETFを買い、株価を支えようとしています。