創業3年で月商1億円突破! ネット通販サイトを成功させた元イケメン俳優の挫折と道程

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江戸英雅さん(ひなたライフ代表取締役CEO)

 いまや家具やインテリア雑貨もネット通販で買う時代。SNSで影響力のあるインフルエンサーに宣伝してもらう手法をいち早く導入し、「創業3年で月商1億円を突破した」と注目されている通販サイトだ。インテリア雑貨のサイトで、人気のバロメーターであるインスタグラムのフォロワー数は55万超もある。

 ここのトップがちょっと変わった人なのだ。運営会社の代表のこの人は、元俳優という異色の経歴の持ち主。20歳の時には、ミュージカル「美少女戦士セーラームーン」の5代目タキシード仮面に抜擢された。この役はイケメン俳優の登竜門として知られており、現在放送中のNHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」で語りを務める城田優は、江戸さんの2代後輩だ。そんな俳優が、なぜ今はネット通販サイトを運営しているのか--。

 千葉県銚子市の西隣に位置する旭市に生まれた。中学高校時代はヤンチャで、親にも随分心配をかけたという。

「この子は将来どうなるんだろうと案じた親が俳優事務所に履歴書を送ったんです。5歳ぐらいの頃-ー僕は覚えてないんですが--近藤真彦さんの歌を完コピして踊っていたらしくて、そういう世界なら興味があるんじゃないかと思ったらしいです」

 養成所には高校3年の中ごろに入所。実家から都内の養成所に週1回通った。そこで俳優の面白さに目覚め、高校を卒業すると東京で一人暮らし。アルバイトをしながらレッスンやオーディションに励んだ。

「当たり前ですけど最初は仕事なんかなくて。舞台の稽古が始まると、バイトもできないから毎日メシを食うのも大変でした。でも、今思えば楽しかったですね。実はチャンスがあればもう一回挑戦したいと思っているぐらいです」

パソコン修理センターのコールスタッフに

 しかし当時は「5年頑張ってみて芽が出なかったら辞めよう」と心に決めていた。2年目でセーラームーンという人気舞台の主要キャストに抜擢されたものの、その後が続かなかった。公約通り5年目、23歳の時に引退した。

「実家に帰ったのですが、全くやりたいことがない。でも、とりあえずバイトぐらいしなきゃと思って、たまたま募集していたパソコン修理センターのコールスタッフに応募したんです。最初はアルバイトでしたが、いつしか契約社員になり、そして正社員に。結局30歳になるまで7年間そこで働きました。最終的には40人のスタッフを束ねるマネジャーになってましたね」

■セーラームーン時代の経験が生きる

 アルバイトから異例の出世。成功のカギは俳優時代に培ったマネジメント能力にあった。

「セーラームーンのミュージカルは、出演者のほとんどが女性。男性の僕は自然と女性出演者を束ねる役柄を担わされていたのです。一方、コールスタッフも7~8割は女性。セーラームーン時代のそうした経験が生きました」

 その後、親会社に移って4年間勤務。

「上司がゴリゴリの体育会系。でも、おかげで営業力は鍛えられましたね。営業成績は常にトップクラス。グループ全体で約2000人いる社員のうち、賞与査定でAランクを取る人は極めて少ないなか、僕はさらにその上のSS査定という破格の評価をもらいました」

 親会社とは別の通販業務を請け負う会社に移るが、次はクライアント側に行きたいと思い、そのひとつの某アパレル企業に物流マネジャーとして転職する。そこで短期間で成果を上げ、テレマーケティングを行う会社にヘッドハンティングされると、それまでの経験を生かして新規のネット通販(EC)事業の立ち上げを任された。しかしほどなく挫折してしまう。

「EC事業は、最初は儲からないのが当たり前。でも労働集約型ではないので、後からじわじわ利益率が上がるビジネスモデルなんです。それなのに初年度から黒字化を要求されて……。上司はEC事業について全く知りませんでした。何度説明しても理解を得られないので、だったら自分でやろうと、退職して起業することにしました」

 しかしその道も、平坦ではなかった。

俳優業をあきらめ、ネット通販ビジネスへ

「それまでずっとアパレルのECをやってきたので、扱う商品は服が得意でしたが、市場はかなりの飽和状態。今さらゼロから始めて黒字化できるイメージが湧きませんでした。そこでひらめいたのがインテリア雑貨です」

 当時、インテリア雑貨を扱うネット通販サイトはまだ多くなかった。それゆえブルーオーシャン(青い海のように手つかずの市場)と判断したのだが、そう甘くはなかった。

「インテリア雑貨のメーカーさんは、自社の商品に強いこだわりを持つところが多く、『ECサイトには卸せない』と、ことごとく仕入れを断られました」

 先行していた他の通販サイトを見ると、どこもメーカーから提供された説明文や写真を使うだけで、商品に対しての愛着は感じられない。だから製品の違いもよく分からず、売れないから値崩れが起きていた。これではメーカーが商品を卸したくないというのも分かる。

「裏を返せば、商品の特徴やこだわりを丁寧に説明するECサイトをつくれば勝機があるということ。その仮説をもとに、しっかりと世界観までつくり上げた仮サイトを準備して、もう一度各メーカーに交渉したのです」

 その戦略が当たり、見事商品仕入れに成功した。だが、ネット通販サイトは固定客が付くまでは赤字が当たり前。

「最初の数カ月は、貯金と借金でつくった資本金から、毎月100万円ずつ消えていく。それは恐怖でしたね」

 しかし少しずつ客が増え、会社設立2期目で黒字化。そこからは右肩上がりで、3期目には月商1億円を突破した。

黒字化の決め手は「リアル以上の接客です」

 好調の理由はいろいろ考えられる。インテリア雑貨業界では珍しいインフルエンサーマーケティングが当たったというのもある。しかし一番は、しっかりつくり込まれたネット通販サイトのコンテンツだろう。

「リアル店舗以上の接客をしようと心掛けました。リアル店舗のスタッフは、人によって商品知識や接客態度が違いますが、ECサイトならある意味常に一定です。そのクオリティーを高く保てば、きっとお客さんは何度も足を運んでくれると思ったんです」

 紹介する商品は一つ一つスタッフが手に取り、どんなシーンで使え、どんなメリットがあり、あるいは家の中の困り事を解決できるかイメージ。消費者視点で丁寧に情報を伝えるよう努力しているという。

 コロナ禍前は「リアルが一番」というきらいがあったが、今はオンラインでいかにリアル以上の価値を提供するかが大事かということを、このサイトは教えてくれる。

 ちなみに本人は、商品のセレクトを一切しないそうだ。

「以前までやっていたのですが、僕の選んだ商品がことごとく売れなくて(笑い)。やっぱり、女性が手に取りたい商品は、女性じゃないと分からないですね」

 サイトをのぞいてみればわかる通り、とにかくすべてがシャレている。なお1番人気は、折り畳み式のリラックスチェア。見た目がオシャレなだけでなく、クッション素材を外せばアウトドアにも使える機能性が受けているそう。

 最後に、今後の目標を聞いてみた。

「3年以内に自社の通販アプリの利用者を1000万人、年商を50億円にすること。そして、歌と踊りのレッスンに通っている子どもたちと、ミュージカルの舞台に立つこと。自分がスポンサーでもいいので、ぜひ実現したいですね」

 実は会社名は2人の子供の名前が由来。イケメン社長は、これからも家族のために走り続ける。

(取材・文=いからしひろき/ライター)

▽江戸英雅(えど・ひでまさ)1979年、千葉県旭市生まれ。18歳からモデル・俳優として活動。ミュージカル版「セーラームーン」で5代目タキシード仮面に抜擢。約150ステージをこなす。その後、俳優業は引退。PC修理コールセンターのオペレーターやアパレルのECサイト運営などさまざまな仕事を経て、2017年9月にインテリア雑貨のECサイト「ひなたライフ」を立ち上げる。徹底的に作り込んだコンテンツと、SNSを活用したマーケティング手法が消費者に受け、創業3年で月商1億円を突破。
公式サイト<https://hinatalife.com> 

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