東京メトロが株式上場へ 時価総額は1兆円規模の可能性も…実は成長戦略が見えてこない
もっとも中長期の利益成長シナリオが定まっているわけではない。定期券収入はコロナ禍前の8割までしか戻り切っておらず、テレワークの定着化でこうした傾向は今後も続く見通しだ。
有楽町線の延伸や品川周辺の新駅・新線建設など輸送人員増につながる計画はあるものの、過去の試算では「黒字化するまでに20年近く、建設費など累損を解消にするまでには40年かかる」ともいわれている。
地上の保有不動産物件は手薄で、東急や西武ホールディングスなど大手私鉄のように大型商業施設やホテル、オフィスビル開発など「非鉄道事業」で稼ぐ手段も限られる。ナイトアクティビティー需要を取り込む形で終夜運転を実施する手もあるが、運賃改定を伴わなければ保線コストがかさむだけだ。
となると残された道は再編やM&Aか。東京都とすれば、23年3月末で2151億円の累積損失を抱え、長期債務が5860億円に膨らんでいる都営地下鉄でも引き取ってもらいたいところだろう。
■関連記事
-
語り部の経営者たち クリーク・アンド・リバー社 井川幸広会長(7)出資ベンチャー元日野自動車会長の下義生氏が采配を振るうワケ
-
語り部の経営者たち クリーク・アンド・リバー社 井川幸広会長(6)事業は「ロマンと算盤」のバランス 消滅危機のサガン鳥栖の再生へ
-
語り部の経営者たち クリーク・アンド・リバー社 井川幸広会長(4)フリーランスの権利とギャラを守るために90年に29歳で創業
-
クルマは乗らなきゃ語れない ポルシェ911初のハイブリッド 新型GTSは電動エコ化にあらず、規格外のドリフトマシン化だった!
-
経済ニュースの核心 アパレル世界2位のH&Mを猛追! 絶好調ファーストリテイリング・柳井正会長の“後継者選び”で注目の動きが