元テレ東・高橋弘樹×元横浜DeNA・高森勇旗「仕事の辞め方」…“お金”や“成功”の不安とどう向き合う
会社を辞める理由は基本ネガティブだが…
高橋 なにより悲しいことですよね。僕としても、退職はネガティブなことだと思っています。僕だってテレ東で社長まで行きたかったはずだし、高森さんだって本当は大谷翔平になりたかったはずなんですよ。それをあきらめて退くわけですから、根本的にはネガティブなことだと思っています。
入山 高森さんはいかがですか。
高森 その通りですね。でも、僕は幸いなことに自分のなかでかなりやりきった感があったので、ポジティブに辞められたほうだと思います。それでも、プロ野球で大活躍してスーパースターになれたら、どんなによかっただろうといまでも思うのも事実です。辞めていいことがいろいろあったので、自分のなかで美化されてしまっていますが、プロ野球で大成功してスーパースターになるのが、自分にとって一番いいはずですから。
入山 高橋さんは著書『なんで会社辞めたんですか?』(講談社)で、元テレ東プロデューサーの佐久間宣之さんや元日経新聞記者で経済ジャーナリストの後藤達也さんなど、いろいろな人に話を聞いているじゃないですか。そういった方々はどうなんですか?
高橋 基本ネガティブだったと思いますよ。佐久間さんとかは明るく前向きなことを言っていましたが、会社をポジティブに辞めている人なんていないと思うんです。もちろん、一部すごく前向きな転職もあるかもしれませんが、一般的に退職はネガティブなほうが多い気がします。
高森 高橋さんは辞めてからそれほど間がないですよね。僕は辞めてからなりポジティブに受け入れられるようになっています。あと当然ですが、辞めたあとのキャリアが充実すればするほど、辞めてよかったと思えるようになる。
高橋 自分もさっきはそう言ったものの、辞めてよかった、辞めてせいせいしたという感じではあるんですよ(笑)。ただ、やっぱり「本当はこうなりたかった」という強い悔しさみたいなものが、次のステップに行くときにはあったほうがいいのではないかとは思いますね。
入山 高森さんはどうですか。辞めたあと、どうマインドリセットし、どう悔しさを克服していったのでしょうか?
高森 ベイスターズを辞めた瞬間は、ポジティブに「ありがとうございました!」という感じで出ていけました。とはいえ、アマチュア時代も含めて20年ぐらい野球をやってきましたからね。20年間ずっと片思いをしていた人に急に「嫌いだから別れてください」と言われて、「了解!」と切り替えられるかと言えば、やはり切り替えられないんですよ。次のステージにソフトランディングする期間は、野球をやっていた頃の感覚から抜け出せませんでした。