元テレ東・高橋弘樹×元横浜DeNA・高森勇旗「仕事の辞め方」…“お金”や“成功”の不安とどう向き合う

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「辞めたい」と思ったら、素直に辞めるのがいい

入山 ある種の“慣性の法則”のようなものが働いていたわけですね。ただ結局、ふたりとも退いた結果、いまはやっぱりよかったと思えていると。

高橋 結果として会社員時代より年収も上がったし、自由も手に入れられたし、チャレンジの幅も広がったしといい点はいろいろあります。だから、辞めてよかったですよ。

高森 僕は未だに球場に行って選手を見ていると、「カッコいいな」と思ってしまうんです。世の中にはいろいろな職業があって、お金を稼ぐだけだったら、別に野球選手以外にも圧倒的に稼げる職業はある。でも、いろいろ見てきたなかで、やはり「野球選手はカッコいい」「野球選手ってすごい職業」だと思ってしまうわけです。その反面、「野球選手は初夏の南仏には絶対に行けないしな」などと思ってもしまうわけです。

入山 シーズン中ですからね。

高森 「選手は絶対、夏に釣りとか行けないんだろうな」と考えると、「オレっていま、なんて恵まれているんだろう」と思っちゃいますね。要するに、人生の選択肢が広がるという意味でも自由を感じています。

高橋 常々思うのは、ビジネス経営者系はポジティブで自信に満ちあふれている人が多く、クリエイター系はネガティブで常に不安を感じている人が多い気がしますね。

入山 高橋さんはいま、両方やられているわけじゃないですか。

高橋 大変ですよね、気持ち的にも金銭的にも。たとえば、クリエイターは1000万円もらったら、全部投入してでも、いいものをつくりたくなってしまいます。ところが、経営者の場合だと粗利を半分取っておこうとか考えるわけじゃないですか。「粗利半分なんて、いらねぇ」と思うのがつくり手です。そのあたりの議論が、自分のなかでいつまでたっても終わらないですね。

入山 いまこの瞬間も日本中で会社を辞めたいとか、仕事を辞めたいと思ってる人がたくさんいると思います。おふたりなら、そういう人たちにどんなアドバイスを送りますか?

高橋 「辞めたい」と思ったら、素直に辞めるのがいいと思いますね。辞めたら辞めたで、可能性が広がりますから。僕がテレ東にいたときは、テレ東内の700人と仕事をしている感覚が強かったんです。けれど会社を辞めたら顧客が“全世界”に広がった感覚があります。だから、イヤなら辞めればスッキリするのではないでしょうか。

高森 ほんとにその通りですね。ただ、どんな理由で辞めるかはけっこう重要かもしれません。「会社が自分の力を認めてくれない」「正当に評価してくれない」という理由で辞める人は、おそらく次に行っても正当に評価されないと思います。なぜなら、「結果が出ていないので辞めます」と現実を認められない限り、また同じことが起こる可能性が高いからです。

入山 それが「降伏論」というわけですね。辞める原因は「自分にある」と認めるところからしか始まらないと。

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