著者のコラム一覧
森岡英樹経済ジャーナリスト

1957年生まれ。早稲田大学卒業後、 経済記者となる。1997年、米コンサルタント会社「グリニッチ・ アソシエイト」のシニア・リサーチ・アソシエイト。並びに「パラゲイト ・コンサルタンツ」シニア・アドバイザーを兼任。2004年にジャーナリストとして独立。

関西電力の新経営計画は不十分と“NO”を突きつけたエリオットの狙い

公開日: 更新日:

 エリオットの年間平均リターンは2桁を維持している。ここ数年は、日本のエネルギー企業への投資に傾斜しており、24年には東京ガスに投資し、水面下で増配や自社株買いなどの株主還元や保有不動産売却による資本効率の改善を求めた。だが「エリオットは東ガスが不動産売却に動くのを待たずに、今春、高騰した東ガス株を売り抜けて、サヤを稼いだ」(同)とされる。

■関電は格好のターゲットに

 返す刀でターゲットとされたのが関電だった。関電は24年11月に、42年ぶりとなる4000億円規模の公募増資を発表し、株価が大幅に下落したところで、エリオットの格好の餌食となった格好だ。エリオットが関電に要求している項目は、東ガスに突きつけた内容とうり二つだ。

「エリオットの最大の狙いは、東ガスと同様、不動産の売却による株価のつり上げだろう。年間に1500億円規模の不動産またはその他のノンコア資産を収益化できると要求している」(同)とされる。

 関電は傘下に関電不動産開発を持つ。「経営破綻した松下興産の不動産部門を買収して業容を拡大、首都圏や海外に多数の優良物件を保有していて、3000億円近い含み益を持つ」(メガバンク幹部)という。25年3月期の経常利益5316億円のうち、14%にあたる731億円を不動産・通信事業が叩き出している。

 改正外為法によって守られた電力株は、外国資本が単独で10%以上買い進めることは事実上、困難だ。エリオットの狙いは、「東ガス同様、株価が上昇したところで売り抜ける戦略ではないか」(市場関係者)との見方が強い。

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