高橋乗宣
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高橋乗宣エコノミスト

1940年広島生まれ。崇徳学園高から東京教育大(現・筑波大)に進学。1970年、同大大学院博士課程を修了。大学講師を経て、73年に三菱総合研究所に入社。主席研究員、参与、研究理事など景気予測チームの主査を長く務める。バブル崩壊後の長期デフレを的確に言い当てるなど、景気予測の実績は多数。三菱総研顧問となった2000年より明海大学大学院教授。01年から崇徳学園理事長。05年から10年まで相愛大学学長を務めた。

世の中から希望を奪う政権の「賃下げ」政策

公開日: 更新日:

 この先、日本の労働賃金が上がることはないのではないか。そんな思いすらよぎってくる。

 連合がまとめた今年の春闘の1回目の回答集計によると、ベアと定昇を合わせた賃上げ率の平均は2.43%と、昨年4月の消費増税分にも満たなかった。回を追うごとに中小企業の割合が増え、最終的な賃上げ率はさらに下がる。これでは19カ月連続マイナスの実質賃金を押し上げる効果は、全く期待できない。

 2.7兆円と空前の営業利益を上げる見込みのトヨタでさえ、組合員の平均賃上げ率は3.2%に過ぎない。円安メリットを最大限に享受する輸出大企業でも、この程度しか従業員に還元できないのだ。その背景には経済のグローバル化による産業構造の変化、国際価格競争を理由とした人件費の抑制などさまざまな事情が横たわっているのだが、安倍政権はさらなる「賃下げ路線」に舵を切ろうとしている。

 今国会での成立を目指す「残業代ゼロ法案」(労働基準法改正案)は、日本人の働く価値を根本からネジ曲げ、間違いなく収入減をもたらす。法案の中身で特に問題なのは、企業の営業・管理部門まで「残業代ゼロ」の裁量労働制の対象業務にし、大半の従業員を成果主義の網にかけようとしていることだ。

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