高橋乗宣
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高橋乗宣エコノミスト

1940年広島生まれ。崇徳学園高から東京教育大(現・筑波大)に進学。1970年、同大大学院博士課程を修了。大学講師を経て、73年に三菱総合研究所に入社。主席研究員、参与、研究理事など景気予測チームの主査を長く務める。バブル崩壊後の長期デフレを的確に言い当てるなど、景気予測の実績は多数。三菱総研顧問となった2000年より明海大学大学院教授。01年から崇徳学園理事長。05年から10年まで相愛大学学長を務めた。

官民対話は首相の公開八つ当たりの場

公開日:  更新日:

 剣の達人は、やたらと刀を抜かないものだが、一国の首相が持つ“権力の刃”は、今は常にムキ出しだ。閣僚や経済3団体トップらが出席した「官民対話」の2回目の会合でのこと。安倍首相から財界への注文は、3年連続となる春闘での賃上げ要請にとどまらなかった。

 下請け企業が製品を納入する際、原材料コスト上昇分の価格転嫁を認め、値下げ要求も控えるように伝えた。揚げ句に賃上げの具体策や投資拡大の見通しについて、「次回、産業界としての方針を示して欲しい」と月内にも開く次の会合までに回答を迫ったのだ。これでは「対話」というより「強要」で、ロコツな強権発動である。

 賃上げも設備投資も企業の経営判断の重要事項だ。そこに時の政権が余計なクチバシを入れるべきではない。下請け企業との取引交渉だって同じ。経済活動の担い手の自主性を重じるのが市場経済であり、自由主義経済の原則である。経済学のイロハのイを無視する首相の強権発動を容認すれば、自由競争の大原則が崩れ去る。ひいては日本経済全体のバランスをおびやかすことになりかねない。

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