自画自賛の笑止 株高も求人増もアベノミクス成果にあらず
安倍首相が連日、選挙の応援演説でアベノミクスの「成果」と称し、細かな経済統計を並べている。とりわけ強調したがるのは、株価の21年ぶりの高値圏と有効求人倍率のバブル期超の高水準だ。はたして、これらが「成果」と言えるのか。
まず株高は日本に限った現象ではない。世界の株式市場が活況に沸き、米、独、韓など各国の主要株式指標が相次ぎ過去最高値を更新。先進国で更新していないのは、日本ぐらいなものだ。
米MSCI算出の世界株価指数が今年に入って2割上昇したのに対し、日本株の上昇率は11%にとどまる。むしろ、日本は世界同時株高に出遅れているのだし、日銀や年金資金などに支えられた「官製株高」であることも忘れてはいけない。とても、アベノミクスの「成果」と胸を張れる状況ではない。
8月の有効求人倍率は1・52倍。43年ぶりの高水準は少子高齢化が招いた深刻な人手不足を反映している。若者の人口が減り、定年後も嘱託などで働いていた「団塊の世代」も65歳を越え、続々リタイア。15~65歳の「生産年齢人口」は急減している。それこそ安倍首相が解散表明で語った「国難」の一つが表面化した数字で、自慢して回っている場合ではない。