【切り干し大根】腸内細菌の改善や減塩料理の食材として注目
冬の乾いた風にさらされ、じっくりと天日で干された大根は、甘みとうまみを増して切り干し大根へと姿を変えます。その歴史は江戸時代にさかのぼりますが、冬場に大量に収穫した大根を無駄なく使うため、農村部を中心に干し大根が作られたといわれています。寒風と乾燥した気候が大根の糖分を濃縮し、各地で「切り干し大根」「干し大根」など独自の呼び名や製法が広まりました。
明治以降は鉄道輸送の発達とともに全国へ普及し、戦時中には保存食、貴重なビタミン源として軍隊や学校給食にも利用されてきました。近年では、腸内環境の改善や減塩料理に役立つ食材として再び注目されています。
さて、そんな切り干し大根は、干すことで水分が抜けるため、重量あたりのカルシウムや鉄が生大根より高くなります。ただし、これは乾物100グラムで比較した場合の数値で、実際の喫食量では生大根を大量に食べた場合とほぼ同程度です。それでも、少量で効率よく食物繊維やミネラルを摂取できる点は大きな利点ですね。便のかさを増してくれる働きのある不溶性食物繊維が豊富で、腸内環境の改善や便通促進に役立つことが報告されています。