大統領選狙い農家救済に動き…トランプは日本に目をつけた
トランプはニューヨーク生まれの典型的なお坊ちゃん。中西部の田舎で泥まみれになって牛や豚、トウモロコシや小麦を育てる農家などに関心がない。親から譲り受けた不動産業を引き継いで言葉巧みに巨万の富を得てきたトランプにはむしろ苦手な相手である。
にもかかわらず、トランプはなぜ牛肉など米国農産物の日本への輸出に異常なこだわりをみせるのか。それは米中貿易摩擦の直撃を受け、共和党の強固な支持基盤である米国農家が深刻な苦境にあるからだ。
米国の対中関税の引き上げという制裁に対抗して、中国も大豆などの農産物の輸入関税を大幅に引き上げた。そのスキを狙ってブラジルやロシアが中国に輸出したものだから、結果的に米国内の農家の首を絞めることになった。中国商務部によると、1~4月の米国産大豆の輸入量は7割、豚肉は5割も減った。そのうえ今年の米国農家は、日本と同じように洪水や高温という異常気象にも見舞われて借金が拡大していった。