著者のコラム一覧
保阪正康作家

1939年、北海道生まれ。同志社大卒。編集者を経て「死なう団事件」でデビュー。「昭和天皇」など著書多数。2004年、一連の昭和史研究で菊池寛賞。本連載「日本史 縦横無尽」が『「裏切りの近現代史」で読み解く 歴史が暗転するとき』(講談社)として好評発売中。

謀略型軍人の態度を変えさせた石原莞爾の日中戦争不拡大論

公開日: 更新日:
療養中の自宅からリヤカーで東京裁判出張尋問が開かれる酒田市へ向かう証人の石原莞爾元陸軍中将(山形県飽海郡高瀬村)=1947(昭和22)年4月30日(極東国際軍事裁判)/(C)共同通信社

 汪兆銘担ぎ出し工作の日本側の裏面史を語っておくことにしたい。この中心になったのは、上海で影佐機関を動かしたこともある影佐禎昭であった。担ぎ出し工作の始まりのときは、参謀本部の第8課の課長であった。第8課は謀略担当でもある。この影佐と支那班長の今井武夫が軸になっている。

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