藤井聡(京大大学院教授)「幼児のような日本を大人の国に!」「後進の育成も」

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 実践的社会工学の専門家の立場からメディアで国政について積極的に発信する藤井聡教授。2012年から6年間は内閣官房参与として直接、政府に提言も行った。そんな藤井教授はミュージシャンの顔も持ち、趣味では魚釣りに熱中する。活動範囲や興味の対象は広く、それぞれに死ぬまでにやりたいことがある。

■「葉隠」いわく、死を自覚して生きてこそ、充実した人生が送れる

 死については30代からいつも頭にありますよ。いつ自分が死ぬか。それは誰にもわかりませんが、80歳だとしてあと24年。その間に何を成し遂げようかということを念頭にいつも生きています。

 死を意識し始めたのはドイツの哲学者・ハイデッガーの著書「存在と時間」の影響が大きいですね。その中でハイデッガーは「死の先駆的覚悟」ということを言っています。つまり死を自覚して生きてこそまっとうな人間だ、漫然と生きていてはいけない、ということですね。

 東洋でも佐賀藩士・山本常朝の武士としての心得をまとめた「葉隠」があります。「武士道と云ふは死ぬ事と見付けたり」という言葉がよく知られていますね。その「葉隠」に「毎朝毎夕、改めては死に改めては死に、常住死身になりて居る時は、武道に自由を得、一生落度なく、家職を仕果すべきなり」ということも書かれています。

 これは毎日朝夕、今日死ぬんだと考えて行動すれば、一生落ち度なく天下国家のお役に立てるという意味です。つまり死を覚悟して生きてこそ、充実した幸福な人生を送れるということなんです。

 僕はこうした考えに共感し、自分自身もそうした生き方を心がけています。今日できることは全部やり切っておこうと日々思い、家を出る時は「もう二度と帰ってこられないかもしれない」、友だちと会って別れる時も「二度と会えないかもしれない」――そう考えると目の前にいる人、一緒に過ごす時間を大事にできます。

■「藤井聡」は攻撃的MF、政治家はFW

 以上のことを前提として、死ぬまでにやりたいことを語れば、仕事については日本が普通の大人の国家になることを夢見ています。僕は大学で18~24歳の大人と大人でない人の境界にいる人らと日々接していますから、その境界をよく知っています。その僕の目で見ると、日本は幼児のような国なんです。自分の欲望や気分だけで行動する幼児のような政治家が幼稚園のままごとのような政治をやっている。

 しかし、そんな幼児を選んでいるのは国民です。内閣の支持率が低下したといっても20%以上はありますから。このような国を何とかしたい、まともになってもらいたい。まともな大人の国家というのは独立した国家。米国や中国に防衛や食料の面で依存しない国です。

 夢が日本を大人の国にすることなら目の前の目標はデフレ脱却ですね。日本が真の独立をするにはデフレを脱却して国力を上げなくてはいけない。国力がない国には切れる外交カードがない。デフレが続く限り外交カードは増えないので、たとえば北方領土の返還や北朝鮮の拉致被害者の帰国も実現しない。まったくダメなんですよ。

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