日本のヤクザと香港マフィアが盃…仲介した反社集団「チャイニーズドラゴン」の狙いと成果
事件が明らかになったきっかけは、スマホに残された1本の動画だった。23年9月、チャイドラ赤羽グループが東京・渋谷区の表参道のアップル直営店で、iPhone15を買い占めようとして別のグループとトラブルになった。警視庁は昨年9月、メンバーの男女7人を逮捕。そのうちの1人が加次郎だった。押収したスマホを解析した結果、兄弟が両者を仲介している映像が見つかった。
「チャイドラには複数のグループがあり、表参道店のiPhoneは前年まで東京・王子グループが買い占めていたが、主要メンバーが赤羽に移り、大量に購入しようとしてトラブルになった。iPhoneは中国の富裕層に人気があり、当時、世界的に在庫不足だった新製品が日本では安く購入できた。グループにとって重要なシノギだった」(捜査事情通)
■ミャンマーの特殊詐欺にも関与
チャイドラは中国本土のマフィアとも密接な関係にあるといわれる。今年2月、ミャンマーの国境地帯で日本人を含む1万人以上の外国人が監禁され、特殊詐欺を強要されていることが明らかになった。中国人率いる巨大犯罪組織から依頼を受け、日本人のかけ子を集めるリクルーター役や現地の指示役をチャイドラの一味が担っているとみられている。
シノギに困り、ヤクザが激減する中、チャイドラは秘匿性の高い通信アプリや暗号資産(仮想通貨)など最新ツールを駆使し、外国の犯罪組織と対等な関係を築き、莫大な犯罪収益を上げ、勢力を拡大したようだ。