この夏は“凶作”も…星稜・奥川と津田学園・前の評価急上昇

公開日: 更新日:

走者を背負ってからギアを上げる

「ウチのドラフト用のリストに名前が載っている選手で、甲子園に出てきたのはたったの16人。3校に1人いる程度だからね。それでもリスト漏れしたのがいても不思議じゃないと、ブルペンの控え投手までチェックしたけど、あまりにもいないんで喫煙所に行く回数が増えて仕方なかったよ」

 こう言うのは在京球団のさるスカウト。夏の甲子園の対戦がひと回りした12日、新幹線で帰京した直後のセリフがこれだ。「今年は不作を通り越して凶作だった」とすら言うのだが、そんな中、ネット裏の評価を上げた選手は2人。ともにセンバツに続いての出場で、ひとりは星稜(石川)の奥川恭伸(右投げ右打ち)、もうひとりは津田学園(三重)の前佑囲斗(右投げ右打ち)だ。

 まずは奥川。「間違いなくドラフト1位候補に入る。真っすぐが速い上に、しっかりと球を押し込めている」と言うのはDeNAの吉田スカウト部長。楽天の福田プロアマスカウトアドバイザーはこう言った。

「ストレートの質、制球を含めて総合力が高く、ほぼ完成品といっていいのではないか。プロでも早い段階から使えると思う。甲子園では登板間隔が詰まった中でも、体力面でどれくらいのものを見せられるか見てみたい」

 日本ハムの山田スカウト顧問は「センバツと比べても成長しているように見えた」とこう続ける。

「春は攻め一辺倒のピッチングでしたけど、今回はメリハリをつけ、走者を背負ってからギアを上げているように見えた。ペース配分を考え、抜くところは抜いているように感じました。それと春はあまりインコースを攻めてなかったのに、今回はアウトコースとインコースを使い分けていた。上というか、今後を見据えたピッチングをしている気がします」

 今年の高校生では大船渡の佐々木朗希が1番人気。複数球団の1位指名が確実視されている。奥川に対しては中日が1位指名を検討しているともいわれるが、今大会でさらに成長した姿を見せたことで佐々木から奥川に乗り換える球団が出てきたとしても不思議ではない。岩手大会決勝の登板を回避して改めて体力面の不安を露呈した佐々木に対して、奥川は福田プロアマアドバイザーが指摘するように「完成度」で佐々木を上回っているからだ。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    小室圭さん年収4000万円でも“新しい愛の巣”は40平米…眞子さんキャリア断念で暇もて余し?

    小室圭さん年収4000万円でも“新しい愛の巣”は40平米…眞子さんキャリア断念で暇もて余し?

  2. 2
    メジャー29球団がドジャースに怒り心頭! 佐々木朗希はそれでも大谷&由伸の後を追うのか

    メジャー29球団がドジャースに怒り心頭! 佐々木朗希はそれでも大谷&由伸の後を追うのか

  3. 3
    若い世代にも人気の昭和レトロ菓子が100均に続々! 製造終了のチェルシーもまだある

    若い世代にも人気の昭和レトロ菓子が100均に続々! 製造終了のチェルシーもまだある

  4. 4
    巨人にとって“フラれた”ことはプラスでも…補強連敗で突きつけられた深刻問題

    巨人にとって“フラれた”ことはプラスでも…補強連敗で突きつけられた深刻問題

  5. 5
    長渕剛の大炎上を検証して感じたこと…言葉の選択ひとつで伝わり方も印象も変わる

    長渕剛の大炎上を検証して感じたこと…言葉の選択ひとつで伝わり方も印象も変わる

  1. 6
    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

  2. 7
    「監督手形」が後押しか…巨人入り目前から急転、元サヤに収まった真相と今後

    「監督手形」が後押しか…巨人入り目前から急転、元サヤに収まった真相と今後

  3. 8
    東京15区補選は初日から大炎上! 小池・乙武陣営を「つばさの党」新人陣営が大音量演説でヤジる異常事態

    東京15区補選は初日から大炎上! 小池・乙武陣営を「つばさの党」新人陣営が大音量演説でヤジる異常事態

  4. 9
    高島彩、加藤綾子ら“めざまし組”が大躍進! フジテレビ「最強女子アナ」の条件

    高島彩、加藤綾子ら“めざまし組”が大躍進! フジテレビ「最強女子アナ」の条件

  5. 10
    「救世主にはなり得ない」というシビアな見方…ピーク過ぎて速球150キロ超には歯が立たず

    「救世主にはなり得ない」というシビアな見方…ピーク過ぎて速球150キロ超には歯が立たず