著者のコラム一覧
元川悦子サッカージャーナリスト

1967年7月14日生まれ。長野県松本市出身。業界紙、夕刊紙を経て94年にフリーランス。著作に「U―22」「黄金世代―99年ワールドユース準優勝と日本サッカーの10年 (SJ sports)」「「いじらない」育て方~親とコーチが語る遠藤保仁」「僕らがサッカーボーイズだった頃2 プロサッカー選手のジュニア時代」など。

【有明】堀米雄斗金メダルの瞬間に橋の上から大歓声が沸き起こった

公開日: 更新日:

有明

 競泳女子400メートル個人メドレーの大橋悠依(イトマン東進)の金メダルに始まり、柔道女子52キロ級と同男子66キロ級の阿部詩(日体大)・一二三(パーク24)の兄妹金メダルなど東京五輪2日目の25日も日本勢の活躍が目立った。

 そんな中、異彩を放ったのが新種目・スケートボード男子ストリートで初代金メダリストに輝いた堀米雄斗(XFLAG)だ。

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 東京都江東区出身の彼は、地元の有明アーバンスポーツパークに凱旋。その雄姿を遠目からでもいいから目に焼き付けたい、と会場が見える有明北橋には熱狂的ファンや地元住民が次々と集結。携帯動画を見ながら、金メダルの瞬間を見守った……。

 テニス会場の有明テニスの森、体操会場の有明体操競技場、バレーボール会場の有明アリーナなどが立ち並ぶ江東区の有明地区。

 この日は聖火最終点火者を務めた大坂なおみ(日清食品)の1回戦が行われることに着目。彼女の試合時間の昼頃を狙って現地へ足を運んだ。

 東京臨海高速鉄道(りんかいせん)国際展示場から5分ほど北へ歩くと有明コロシアムとテニスの森が見えてくる。この日も朝から気温30度超の猛暑。人口都市的な色合いの強い同地区は街路樹も少なく、日光を遮るものがほぼない。まさに過酷な環境下だが、「五輪会場を見たくて来ました」と言う人も少なくない。今や有明エリアは新たな観光名所になっているようだ。

 テニス会場の関係者入口前でバス待ちをする熱心なファンもいた。

「日本人の夫と結婚して日本に10年住んでいますが、東京五輪をどうしても一目見たくて。さっきアンディ・マリーが入っていくのを見ました。それだけでも幸せです」とフィリピン人女性が笑顔を見せる。 

 本来なら選手も彼女らに近くで応援してもらいたかったはずだ。

有明北橋からスマホで堀米雄斗の一挙手一投足を

 ここからさらに北上し、ゆりかもめの有明テニスの森駅前へ。この手前でふと目に留まったのが、タイガービールの大看板。コンテナボックでできた期間限定だ。ポップアップモール&パーク「Zero Base ARIAKE」内のリカーショップである。

 別店でホットドックなどの軽食を買い、周辺会場を眺めながら食事もできるし、バーベキューも可能。五輪開幕後は外国人客も急増中だという。

 コロナ禍で当初計画していたスポンサー広告掲示や派手な装飾は難しくなり、有観客想定の来店者数には至っていないようだが、「国際交流拠点」としての役割は果たしている様子だ。

「地元の方も足を運んでくださって本当に有難いです」と代表取締役の小湊幸星さんも感謝していた。

 冷たいビールで英気を養い、有明アーバンスポーツパークへ。緩やかな坂からBMXのコースの一部が見渡せる。競技開催日の7月31日~8月1日はかなり混雑しそうだ。

 その先の有明北橋に人だかりができている。

 スケートボード男子ストリート決勝会場を眺めつつ、スマホで堀米の一挙手一投足を見ている一団だ。

 特に熱心だったのが、木梨祐一さんと笹谷星さんの職場の先輩・後輩コンビ。予選開始直後の午前9時から現地を訪れ「どこか見られる場所がないか」と探し回り、橋の上に辿り着いたのだ。

「本当は今日のチケットを持っていて現地観戦する予定だったんです。金メダルの瞬間を見るはずだったのに…」と堀米選手の大ファンだという木梨さんは悔しさをにじませる。

 それでも、スタートポジションの選手の姿がうっすら見えるだけでも、東京五輪ムードを実感できたという。

 堀米が競技終盤に首位に浮上した頃には橋の上は人・人・人。筆者も彼らの仲間に加わり、疑似五輪観戦体験をしていた。

 優勝が決まった瞬間、現場からは大拍手がわき起こる。木梨さんは「雄斗~」と叫び、笹谷さんと喜びを分かち合っていた。

 これはこれで素晴らしい体験だったが、有観客なら彼らは堀米の表彰式や国旗掲揚の瞬間を間近で目に焼きられたはず。

 そう考えるとやはり憤りを覚えずにはいられなかった。

 有明アーバンスポーツパーク前では、今後も似たような光景が続くかもしれないが、スポーツを愛する人たちが少しでも世紀の祭典を身近に楽しめるような状況になってほしいと強く願う。

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