元川悦子
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元川悦子サッカージャーナリスト

1967年7月14日生まれ。長野県松本市出身。業界紙、夕刊紙を経て94年にフリーランス。著作に「U―22」「黄金世代―99年ワールドユース準優勝と日本サッカーの10年 (SJ sports)」「「いじらない」育て方~親とコーチが語る遠藤保仁」「僕らがサッカーボーイズだった頃2 プロサッカー選手のジュニア時代」など。

無観客五輪に振り回された人は少なくない フリーランス記者も現地取材できず

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 史上初の無観客五輪の開幕まであと2日。だが、東京都の小池百合子知事が「自宅で家族とテレビで五輪観戦をしてほしい」と言ったように、一般市民は生観戦は叶わない。

 チケット保有者からは「開幕2週間まで引っ張ってこの結末はない」「一生に一回の自国開催五輪なのにひどすぎる」といった不満が噴出。無観客なら無観客なりにJクラブが工夫を凝らしたような企画チケット販売も手掛けられただろうが、全てが後手後手という印象しかない。

 そもそも、東京五輪チケットの1次販売が始まったのは2019年5月。期間は同月9~28日で、公式サイトからエントリーする方式だった。

 サッカーW杯は、2002年日韓大会から4回連続でAD(Accreditation/取材許可証)を取得しているフリーランス記者の筆者も、通信社・新聞社偏重の五輪のAD取得は容易ではない。今回は普通にチケットを購入してスタンドから観戦する形で取材したいと考え、男子サッカーの日本の初戦が有力視された7月22日の味の素スタジアムの試合(C席=5500円)を筆頭にサッカー男子、男女バスケットボール、女子バレーボールなど複数競技に申し込もうとした。

■「電話認証」で申し込み受理されず

 だが、その期間はU-20W杯の取材でポーランドに滞在していたために「電話認証」で引っ掛かった。日本国内の自宅か携帯電話で折り返しを受けない限り、申し込みは受理されない。何度トライしても状況は変わらず、困り果てて友人に代理購入をお願いした。各2枚ずつを申し込んでもらい、当選すれば一緒に行こうと思ったからだ。

 迎えた当選発表の6月20日。友人から「当たったよ」と連絡が入った。7月22日のサッカー男子の日本-南アフリカ戦、8月4日の女子バスケットボール準々決勝、6日の女子バレー準決勝の3セッションだ。

 周りには複数枚当選した人がおらず、友人の強運に感謝しながら約5万円のチケット代をいち早く払い、本番を待った。

 しかし、ご存じの通り、コロナの感染・拡大で2020年3月末に1年延期が決定。今年に入ってからも収まらず、開催が危ぶまれる中、3月20日に「海外観客受け入れ断念」が正式決定。「国内観客の上限」は6月判断に。その間も組織委員会から友人宛に何度か現状説明とお詫びが記されたメールが届き、先行きを危惧していたところ、6月22日に「上限1万人」が決定。肝心のサッカーは「再抽選」となった。

 それでも「女子バスケと女子バレーに行けるならまだいいか」と気をとり直していたが、感染状況が著しく悪化。7月8日夜にはついに「首都圏での無観客開催」が正式決定するに至った。

 その時点では、まだ茨城、宮城、北海道でのサッカーは有観客だった。実は別の友人から「(茨城)鹿嶋開催の準決勝チケットが1枚ある」と誘われていて、かすかな希望に賭けていた。が、その晩のうちに「学校連携観戦のみ」という判断が下される。

■施設や会場を外から眺めることしかできなくなった

 こうして筆者の現地観戦の道は完全に断たれてしまい、施設や会場を外から眺めることしかできなくなったのだ。

 この2年間、似たような状況に陥り、振り回された人は少なくないはずだ。開幕2週間を切ってからの決定では、一般客が五輪に参加する方法はほぼない。しかし、Jリーグの場合だと、5月2日の大阪ダービーでセレッソ大阪が販売した企画チケットのように、ビニールポンチョやフラッグを観客席に掲げる演出が何度か行われている。

 無人でもコレオや横断幕があるだけで選手はモチベーションが高まるし、収入の一助にもつながる。900億円のチケット収入損失を少しでも穴埋めできるアイディアはあったはずだ。が、10日程度では準備時間が短すぎる。組織委員会や東京都や政府は、税金による補填しか頭にないのかと言いたくなる。

「それでも五輪に参加できる方法はないか」と熱望する人には「TOKYO 2020 Share The Passion プロジェクト(https://olympics.com/tokyo-2020/ja/games/event-stp/)」をお勧めしたい。メッセージや応援動画をSNSに投稿し、それが大型映像装置やビデオボードで流される試みだ。

 気休めではあるが、選手側は励まされる部分もあるだろう。無観客なら無観客でこういった企画を数多く考えてほしかった。最悪の事態に至る顛末が何とも恨めしい。

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