著者のコラム一覧
春日良一五輪アナリスト

長野県出身。上智大学哲学科卒。1978年に日本体育協会に入る。89年に新生JOCに移り、IOC渉外担当に。90年長野五輪招致委員会に出向、招致活動に関わる。95年にJOCを退職。スポーツコンサルティング会社を設立し、代表に。98年から五輪批評「スポーツ思考」(メルマガ)を主筆。https://genkina-atelier.com/sp/

(4)北京では五輪憲章「第50条」の精神に反する中国と組織委の言動が黙認された

公開日: 更新日:

 中国政府による新疆ウイグル自治区における人権蹂躙問題に対して、世界の多くの人権団体が抗議し、北京冬季五輪を中止するように国際オリンピック委員会(IOC)に抗議していたが、あくまでも政治的中立を盾にIOCは飄々と開催に臨んだ。

 しかし、実際に大会が始まって、人権問題に関心の高い選手たちの中から、この問題を提起する者が現れたらどうなるか? 私は固唾をのんで見守っていた。

 オリンピック憲章第50条第2項は「オリンピックの区域……では、いかなる種類のデモも、政治的、宗教的、人種的な宣伝も許可されない」としているが、人権意識高揚の中、選手の「表現の自由」を束縛するという観点からの批判もあり、東京2020前にその実施要項が緩和された。オリンピズムの根本原則に反しない限り、決められた時と場の意見表明は許容されることになっていた。

 ところが、北京大会直前になり組織委の国際関係部局副責任者が、「オリンピック精神に反した行動や発言、特に中国の法律や規制に違反するものは、いかなるものも特定の処罰の対象となる」と発言したのが効いたのか、大会中の選手の政治的発言や表現はほとんどなかった。選手の発言を要請していた人権団体の専門家までも身の安全のために中国国内にいる間は人権問題について語らないよう警告したという。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    カーリング女子フォルティウス快進撃の裏にロコ・ソラーレからの恩恵 ミラノ五輪世界最終予選5連勝

  2. 2

    南原清隆「ヒルナンデス」終了報道で心配される“失業危機”…内村光良との不仲説の真相は?

  3. 3

    契約最終年の阿部巨人に大重圧…至上命令のV奪回は「ミスターのために」、松井秀喜監督誕生が既成事実化

  4. 4

    「対外試合禁止期間」に見直しの声があっても、私は気に入っているんです

  5. 5

    高市政権「調整役」不在でお手上げ状態…国会会期末迫るも法案審議グダグダの異例展開

  1. 6

    円満か?反旗か? 巨人オコエ電撃退団の舞台裏

  2. 7

    不慮の事故で四肢が完全麻痺…BARBEE BOYSのKONTAが日刊ゲンダイに語っていた歌、家族、うつ病との闘病

  3. 8

    箱根駅伝3連覇へ私が「手応え十分」と言える理由…青学大駅伝部の走りに期待して下さい!

  4. 9

    「日中戦争」5割弱が賛成 共同通信世論調査に心底、仰天…タガが外れた国の命運

  5. 10

    近藤真彦「合宿所」の思い出&武勇伝披露がブーメラン! 性加害の巣窟だったのに…「いつか話す」もスルー