阿波野秀幸元プロ野球選手
1964年7月28日、神奈川県生まれ。桜丘高、亜大を経て、86年のドラフト1位で巨人、大洋（現DeNA）を含めた3球団競合の末、近鉄に入団。87年、新人王、89年は19勝（8敗）、183奪三振で最多勝と最多奪三振のタイトルを獲得。その後、巨人、横浜でプレー、通算75勝68敗5セーブ。引退後は巨人、横浜、住友金属鹿島、中日などでコーチを務めた。
1989年日本シリーズ後のオフはシーズン中より体調が悪かった
公開日： 更新日：
3連勝しながら4連敗で巨人に敗れた1989年の日本シリーズ。
日本一の経験がない近鉄にとって日本シリーズ制覇は、まさに悲願だったこともあり、当時、なぜ私が1、4、7戦に投げなかったのかが話題になった。
あのころは古い時代と新しい時代のちょうど境目だったがゆえに、そんなことが話題になったように思う。あれ以降、エースが1、4、7戦に投げるとか投げないとかが注目されたシリーズはないのだから。1戦目に投げた投手は5戦目、もしくは6戦目に投げるのが当たり前になっている。
近鉄が3連勝した時点で追い詰められていたのは、むしろ巨人。4戦目に投げるとしたら、初戦に先発した20勝投手の斎藤雅樹だが、実際に投げたのはその年7勝の香田勲男だった。
■経験豊富な巨人とそうでない近鉄
後になって聞けば、巨人は当時、初戦から7戦目まであらかじめ先発が決まっていたという。最初からローテーションをきちんと組んでいたことといい、初戦に先発するエースを4戦目でなく5戦目にもってくることといい、巨人は近鉄以上に時代の先を行っていたことになる。シリーズの経験が豊富な巨人と、そうでない近鉄の差が出たようにも思う。
