LIVゴルフ招待が抱える大きなリスク…サウジ政府系ファンドの資金が続かない

公開日: 更新日:

■試合開催だけで年1億5000万ドル

 移籍金に使った額は定かではないが、今年は優勝賞金400万ドルの大会が年8試合、来年は14試合開催の予定だ。

 ざっと見積もって、試合開催だけに年1億5000万ドルはかかる。

 ただサウジアラビア政府系ファンドからの資金提供はこれ以上望めそうもない。もともと、人権問題や同時多発テロで批判されているサウジの米国での印象を変えるために資金を出したとされているが、これがスポーツウォッシングだと批判され、これ以上のカネを出す意味を失っているからだ。

 ノーマンはサウジの資金が尽きる前に、ビッグネームを看板に、LIVを興行として成功させるもくろみだ。

 観客のチケット収入はもちろんだが、特に米国でのテレビ放映権料やネットでの放映などで、十分採算が取れるようになると踏んでいる。

 確かにPGAツアーの放映権料収入はCBSとNBC、それにケーブルのゴルフチャンネルが支払っているが、かつては、ABCも放映し、フォックスTVもまだ完全には諦めていない。ディズニーもコンテンツとしてゴルフに興味を示している。メジャー1試合の放映権料が1億ドル前後といわれる昨今、LIVのもくろみは全く現実味のない話ではない。

 しかし、それもサウジの資金が尽きる前に、新ツアーとして人気を高めてPGAツアーのように成功させることが急務なのだ。ようするにLIVがこれから生き残るために使える時間とカネがだんだん少なくなっているのは確かだといえる。

(ゴルフライター・吉川英三郎)

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    新生阿部巨人は早くも道険し…「疑問残る」コーチ人事にOBが痛烈批判

  2. 2

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  3. 3

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  4. 4

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  5. 5

    巨人桑田二軍監督の“排除”に「原前監督が動いた説」浮上…事実上のクビは必然だった

  1. 6

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  2. 7

    維新・藤田共同代表にも「政治とカネ」問題が直撃! 公設秘書への公金2000万円還流疑惑

  3. 8

    35年前の大阪花博の巨大な塔&中国庭園は廃墟同然…「鶴見緑地」を歩いて考えたレガシーのあり方

  4. 9

    米国が「サナエノミクス」にNO! 日銀に「利上げするな」と圧力かける高市政権に強力牽制

  5. 10

    世界陸上「前髪あり」今田美桜にファンがうなる 「中森明菜の若かりし頃を彷彿」の相似性