日本サッカー界のレジェンド釜本邦茂さんを悼む…不世出のストライカーが日刊ゲンダイに残した金言の数々

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 小さな「異変」に胸がざわついたのは、2022年10月13日だった。

 開幕を控えたカタールW杯に向けて特別号を発刊するに当たって取材を依頼、取材場所近くの銀座8丁目・博品館の前でタクシー移動の釜本さんを待った。いつものように待ち合わせ時間前に到着した釜本邦茂さんが、タクシーから降りる際に少しだけふらついた。

「なんや最近足に力、入らへんのよ。足も細なったしな」──。

 23年7月20日付の日刊ゲンダイ紙面から連載「ガマッチョの真実」がスタート(全68回)。大阪市の釜本企画事務所、豊中市の自宅で取材を重ねた。

 14年に発症した喉頭がんは快癒していたが、23年に入ると体重減と筋力低下に悩まされ、体調不良も重なって病院通いが増えた。

 日刊ゲンダイで釜本コラムが始まった05年1月以降、多くの金言をいただいた。日本代表のボール保持率の高さが持てはやされると「そんなにボールを離したくないのやったら、家に持ち帰って床の間に飾っとけばええやろ」。無得点の負け試合で「前線からの守備に貢献した」と胸を張るFWには「そんなアホなこと、恥ずかしいから人前で言いなさんな」。言葉は時に辛辣だったが、根底には日本サッカーのレベルアップを願うサッカー愛にあふれていた。

 誰よりも「釜本2世」の出現を待ち焦がれていた。ゆえに1968年メキシコ五輪銅メダル・得点王の自身を超える点取り屋が出てこない状況を憂えた。

「4年に1度、まるで亡霊のようにメキシコではようやった、釜本は凄かったという話題が出る。いつになったら日本サッカーは次のステップに進めるのか? 現役の代表選手たちは、もっと踏ん張らなアカンやろ」

 メキシコ五輪後、サッカー界の寵児となった釜本さんの元には西ドイツ(当時)1部の1860ミュンヘン、2部のザールブリュッケン、フランス1部のマルセイユなど計6クラブから獲得オファーが届いた。

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