(1)自覚がないから大丈夫…は間違い 脂肪肝が引き起こす怖い病気
肝臓は体内最大の臓器で、主に「栄養の代謝」「胆汁(脂肪などの消化を助け不要物を排出するための消化液)の生成」「(薬やアルコールなど血中の)有毒物質の分解」を行う。いわば体内最大の化学工場だ。そこに脂肪が蓄積する「脂肪肝」は恐ろしい病気を引き起こす。肝臓専門医として3万人の患者の診断と治療に携わり、250冊以上の著書のある「栗原クリニック東京・日本橋院」の栗原毅院長が言う。
「痛みなど明確な自覚症状に乏しく気づかない人も多いのですが、脂肪肝は日本人の3人に1人、推定4000万人が罹患している病態です。問題は、この病態が肥満や2型糖尿病など全ての生活習慣病の始まりであり、命を奪うがんなどの深刻な病気の引き金になることです」
その原因はお酒の飲み過ぎ、運動不足もあるが、最も多いのは糖質の過剰摂取だ。
「肝臓に脂肪がたまる」というと、脂身たっぷりのお肉の食べすぎをイメージしがちだが、正しくない。食事で余った糖質が非常用のエネルギー源である中性脂肪として肝臓に過剰に蓄えられた状態が脂肪肝だ。