著者のコラム一覧
鈴村裕輔野球文化学会会長・名城大教授

1976年、東京都出身。法政大学博士(学術)。名城大学外国学部教授。主な専門は政治史、比較思想。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に「MLBが付けた日本人選手の値段」(講談社)がある。スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析している。アメリカ野球学会会員。

なぜMVP2度のハーパーはブチ切れた?いまさら聞けない「選手会vsMLB機構」の内情

公開日: 更新日:

 7月下旬にコミッショナーのロブ・マンフレッドがフィリーズのクラブハウスを訪問し、選手たちと非公開の懇談を行った。

 その際、MVP2度の主砲、ブライス・ハーパーがマンフレッドに対して「部屋から出て行け」と言うと、マンフレッドは「出てゆかない」と応じたというのである。

 問題の懇談会は2022年からマンフレッドが始めた取り組みである。これは、労使交渉のもつれからロックアウトが起きたことを受け、定期的に全30球団の選手との対話を行い、相互の理解を深めることを目的とする。

 現行の労使協定は2026年12月1日に失効する。そのため、労使双方が日頃から意思の疎通を円滑にしていれば、交渉決裂の可能性は低くなるというのが機構側の主張である。

 だが、コロナ禍での開催となった2020年のシーズンでは、試合数の削減と年俸の支払額を巡って労使が対立しており、最近でもマンフレッドが公式戦の海外での開催の強化とレギュラーシーズンの試合数の見直しに言及している。

 選手会側はいずれも、まず年俸の水準を引き下げ、次にサラリーキャップ制を導入するための布石とみなし、反発してきた。

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