「会社は社員を二度殺す」今野晴貴著

公開日: 更新日:

「会社は社員を二度殺す」今野晴貴著

 どれほど会社に貢献した社員であっても、過労死すれば、多くの会社ではかん口令が敷かれ、過労死の事実そのものが隠蔽される。生前、職場への不満を漏らしていたり遺書があっても、会社に何らかの公的な責任追及が始まることはない。

 突然死や自殺が法的に過労死とされるためには、遺族が過労死であると確信し法的権利を行使しなければならないからだ。

 多くの場合、会社側は自らに責任がないことを証明するためにありとあらゆる資料・証言を動員し、時に捏造までする。その過程で死んだ社員の業績は葬られ、尊厳は切り刻まれる。そうして過労死した社員は、会社に2度殺されるのだという。

 実例をあげ、過労死後の法的処理のプロセスを解説するとともに、過労死対策の在り方について問題提起するテキスト。 (文藝春秋 1155円)


最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    侍ジャパンに日韓戦への出場辞退相次ぐワケ…「今後さらに増える」の見立てまで

  2. 2

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  3. 3

    “新コメ大臣”鈴木憲和農相が早くも大炎上! 37万トン減産決定で生産者と消費者の分断加速

  4. 4

    侍J井端監督が仕掛ける巨人・岡本和真への「恩の取り立て」…メジャー組でも“代表選出”の深謀遠慮

  5. 5

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  1. 6

    新米売れず、ささやかれる年末の米価暴落…コメ卸最大手トップが異例言及の波紋

  2. 7

    藤川阪神で加速する恐怖政治…2コーチの退団、異動は“ケンカ別れ”だった

  3. 8

    矢地祐介との破局報道から1年超…川口春奈「お誘いもない」プライベートに「庶民と変わらない」と共感殺到

  4. 9

    渡邊渚“逆ギレ”から見え隠れするフジ退社1年後の正念場…現状では「一発屋」と同じ末路も

  5. 10

    巨人FA捕手・甲斐拓也の“存在価値”はますます減少…同僚岸田が侍J選出でジリ貧状態