全米女子プロ会場名物の強風下で武器になる「パンチショット」なぜ打たない?国内コース進化で“習得不要”の皮肉
■国内では必要ないから身につかない
パンチショットといえば、今年1月に亡くなった台湾出身の陳清波や1939年に当時の年間グランドスラムを達成した戸田藤一郎の代名詞だった。女子では、陳プロと同じく風の強い淡水GCで育った涂阿玉が名手だった。
「今の若い選手はパンチショットをほとんど使ったことがないでしょう」と、ゴルフジャーナリストの菅野徳雄氏がこう語る。
「昔はフェアウエーでも状態がよくないコースが多く、アイアンもフルスイングできなかった。ライが悪いのでパンチショットでなければスコアをつくれなかった。パンチショットでは距離が落ちると思っている人もいるが、戸田は、『フォロースルーが低くてもロフトを立てて打つので距離は変わらない。低く振り抜いたほうがフェースの面が変わらないのでショットのブレは少ない』と教えてくれた。陳さんや涂阿玉は風が強くても、パンチショットで高・低・フック・スライスの4種類を打ち分け、ボールをコントロールした。ライが悪かったり、強風が当たり前のコースのほうが多彩な打ち方を覚える。今の国内コースは状態がいいので、多くの技術を必要としない。皮肉なものです」
現地の予報では3日目も、風速10メートル以上の強風が吹くという。