星野監督の意外な優しさに驚いた。開幕直前「脇腹痛でバットを振れない」と報告したら…
1995年オフ、星野仙一監督の指令で、22キロの大減量に成功した。春季キャンプの初日に星野監督の前で体重計に乗り、88キロで計量をパス。無事に2月1日のキャンプインを迎えることができた。
2カ月間の過酷な減量の反動で、キャンプ中は脂っこい物を貪り食った。そして見事にリバウンド。それでも92~93キロをキープしていたから、減量前より17~18キロは少ない。体は驚くほど軽かった。
当初は「パワーが落ちてボールが飛ばなくなっちゃうんじゃないか」という不安しかなかったが、体が軽くなったおかげでスイングのときに体が回転しやすくなった。馬力よりも体のキレが勝ったわけだ。
ところが、オープン戦が終盤にさしかかった3月中旬、遠征中の練習で脇腹を痛めてしまった。痛すぎてバットが振れない。
「監督に言ったら、きっと大目玉を食らうな……」
そう思ったが、あまりの痛みで、このまま監督やコーチに隠すのは無理だと悟った。覚悟を決め、遠征からナゴヤ球場に戻って練習が終わると、星野監督に「すいません、脇腹を痛めてしまいました……」と正直に報告した。