カムバック星野監督の“2カ月20kg”の無茶ぶりに「嫌です」なんて言えるはずもなく…
「今何キロあるんや?」
1995年オフ、5年ぶりに星野仙一監督が復帰した。2度目の就任だ。秋季キャンプ終盤、監督室に呼び出されるなり、こう聞かれた。
俺が「110キロくらいです」と答えると、監督は「そうか。じゃあ20やな。来年2月1日のキャンプインまでに20キロ落とせ。もしできなかったら、ユニホーム着させんからな」。
当時、秋季キャンプは11月末ごろまでみっちりやっていた。つまり、「2カ月で20キロ落としてこい」ということ。もちろん闘将に対して「嫌です」と言えるはずがない。
「はい……」
力なくそう返事して、監督室を出た。
星野監督は以前からウエートオーバーを嫌っていたが、まさかの20キロ減量指令。
「またムチャなことを言ってきよった。コノヤロー!」
と思ったけど、「やるしかねえ!」と頭を切り替えた。
前年のオフに結婚したばかり。95年は66試合で打率.291、16本塁打、39打点の成績を残し、レギュラーの足がかりをつくった。とはいえ、減量をクリアできなかったら他の選手と同じ土俵に立てず、嫁さんを養えなくなる。