星野監督の意外な優しさに驚いた。開幕直前「脇腹痛でバットを振れない」と報告したら…
すると、星野監督は淡々と「どのくらい痛いんや」。
「痛すぎてバットが振れないんです……」と答えると、こう言った。
「そうか。おまえがそこまで言うんならよっぽど痛いんやな。ええわ。しばらく休んどけ」
怒鳴られるどころか、会話はアッサリ終わった。星野監督の意外な優しさに驚いた。
回復には相当な時間がかかると思った。それから10日間、全く練習せずに家で安静にすることに徹した。
本来はリハビリも兼ねてファームに合流するが、一度も二軍の球場に行かなかった。一日中ボーッとするだけ。そのうち、焦りが募り始めた。
「せっかく前のシーズン、初めて(本塁打を)2ケタ、16本打てたのに……」
「ツライ思いをして20キロ以上減量したのに、ツイてねえなあ」
「今年は子どもが生まれるのに、どうしよう」
心配性なこともあって、頭を駆け巡るのはネガティブなことばかり。
そんなある日、高橋トシ(俊春)さんというバッティングピッチャーの方と世間話をしていた。いつも俺らにボールを投げてくれる年上の先輩だ。落ち込んでいる俺に、トシさんは意外な言葉を投げかけた。