「検察側の罪人」雫井脩介著
<「正義」を問う長編ミステリー>
東京地検の刑事部に所属するベテラン検事の最上は、蒲田で老夫婦が刺殺された事件の初動捜査から立ち会う。
やがて、被害者が金を貸していた競馬仲間数人が捜査線上に浮上。リストを見た最上は、松倉という男の名に見覚えがあった。二十数年前、最上が青春時代を過ごした独身寮の管理人の娘が殺されるという事件があり、松倉はその容疑者として名前が挙がっていた。だが、警察は松倉の犯行を立証できず、事件は迷宮入りのまま時効を迎えていた。松倉を犯人と疑う最上は、過去の事件の償いもさせたいと心に誓う。しかし、若手検事の沖野には、松倉が犯人とは思えなかった。
正義とは何かを問う迫真の長編ミステリー。
(文藝春秋 1800円)