「ティラノサウルスの革」のハンドバッグを年内発売へ! 化石のタンパク質を基にした“未来の素材”の価値
「Tレックスレザー」と呼ばれる革は、もちろん本物のティラノサウルスの革ではない。約8000万年前のティラノサウルスの化石に残されたタンパク質を基に、合成DNAを用いて研究所で育てられたものだ。
具体的には、化石から抽出されたコラーゲンのアミノ酸配列を解析し、これを基に合成DNAを設計。ティラノサウルスに近いとされる現代の鳥類のタンパク質と比較しながら、再構築したティラノサウルスの皮膚に類似した特性を持つバイオ素材だ。
映画「ジュラシックパーク」シリーズを連想させるこの革新的なプロジェクトは、オランダのクリエイティブエージェンシーのVML、同じくオランダのゲノム工学スタートアップのオルガノイド社、そして英バイオテクノロジー企業のラボ・グロウン・レザー社による共同の取り組み。
この「Tレックスレザー」を使用したハンドバッグは年内に発売予定だが、価格や具体的な発売日は現時点で発表されていない。
このプロジェクトの最大の目的は、従来のレザー産業が抱える倫理的・環境的問題への解決策を提供することだという。伝統的なレザー生産は、畜産業による森林破壊や水質汚染、さらには動物の犠牲を伴う。一方、合成レザーの多くも、化石燃料を減量とするプラスチックを使用しており、分解されずに環境に残る問題がある。