僕は本来「教え魔」だが、最優先は「選手をみること」。むやみに教えまくるのがコーチではない
阪神から移籍したロッテで、選手兼任で二軍の打撃守備コーチを務めたところから、僕の指導者人生が始まった。
二軍でもあまり試合に出ない選手にモチベーションを保たせるのは難しい。僕はあえて「一軍のレギュラーになるなら、こうした方がいいんじゃない?」という基準で声をかけるようにした。二軍の試合にも出ていないのだから、「僕が一軍のレギュラーですか?」と一度は疑心暗鬼な顔をするのだが、指導者が大仰な目標を口にすることで、若い選手はとてつもないエネルギーを発し、急成長することがある。若い選手に指導者の言葉は大切なのだ。
僕は本来「教え魔」だが、だからといって、むやみに教えまくるのがコーチではない。僕たちの仕事は「選手を見ること」。選手が何か変えた時に気が付くか。何か言ってきたら、どう答えるか。そのために毎日練習と試合を見るのだ。カリスマ監督がいるチームは、コーチが監督の顔色ばかり見ていることがあるが、見るのは選手だ。もちろん、監督の方針には従うが、僕は顔色をうかがったことは一度もない。
「グラウンドで選手を指導していることがあまりない」と言われたことがあるが、基本的には人目がつかないところでやるようにした。一方で選手が助けを求めてきた時は、言い過ぎるくらいアドバイスを送った。