「地獄に堕ちてもいい」45歳主婦が不倫をする覚悟。義弟と決めた“愛し合うため”の3つのルール #3
これまでのあらすじ
【不倫依存~婚外恋愛を謳歌する男女】
直美さん(45歳主婦/子供ナシ)は、水商売から保険会社を経て、34歳のときに資産家の勝久さん(55歳)と結婚。しかし、結婚生活は幸せとは言いがたかった。義両親は優しかったが、勝久さんは資産を守るため、直美さんには「月に4万円」しか小遣いを渡さないケチ男のうえ、家事は任せっぱなし。
やがて、同居する両親の介護も始まり、ますます自由がない日々に。そんな中、いつも優しく接してくれる夫の実弟・浩介さん(50歳水道修理業/バツイチ独身・子供アリ)と男女の関係になってしまった。ある日、2人がキッチンテーブルで仲睦まじく晩酌をしていたところ、義父に見つかってしまいーー。
気になる最終話の前に、第1話はコチラ、第2話はコチラからお読みいただけます。
起きてきた義父から異臭が
直美さんは語る。
「今思い出しても、心臓が縮む思いです。浩介さんとキッチンテーブルで晩酌をしながら、『一泊でもいいから、直美さんと旅行がしたい』と誘われて手を触れ合いそうになった時、いきなり背後から『お前ら、何してるんだ!』と怒声が響いて…とうとう義父に見つかってしまったと、頭が真っ白になりました」
しかし、事態は意外な方向へと向かった。
「言葉を失っていると、異臭が漂ってきたんです。明らかに大便の匂い。義父は認知症でまだらボケも進んでおり、その時はオムツもしてなくて…。
案の定、垂れ流していました。結局、浩介さんと協力して風呂場に連れて行き、汚れたパジャマを脱がせて、シャワーを浴びさせて…」
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義父の粗相に話題の矛先が
直美さんが真夜中に義父の汚れ物を洗濯していると、夫の勝久さんや義母も起きてきたという。
「どうしたの? と聞かれると、『お義父さんがウンチを漏らして、今、浩介さんがお風呂に入れてくれている』と言うと、2人の仲を疑うより先に『とうとう認知症がそこまで進んだか』『浩介も手伝ってくれて、ありがたいわ』なんてお礼を言われて…。
話題の矛先が、粗相をした義父に向いてくれて、その時はホッとしました。
義父も怒鳴ったことなど忘れて、シャワー後はおとなしく自室に戻って再び眠りについたようです。もちろん、私たちの仲を疑ったことなど覚えていません」
怪しまれないための鉄のルール
その日は、何事もなく済んだが、2人の関係は続いた。
「二度と怪しまれないよう、ルールを決めたんです。
受け取ったLINEは、読んだらすぐに削除する。密会するラブホテルは毎回違う場所にして、現地集合、現地解散。家事・介護をおろそかにしない。
その分、浩介さんとは情熱的に愛し合いました。彼が私にだけ見せてくれる弱みや甘えん坊な部分、少年と大人が同居する純粋さなど、全てが愛しくて…。
ただ、浩介さんとしては、どうしても2人で旅行に行きたいようで、何度も誘われましたが、それだけは断っていたんです」
地獄に堕ちてもいい
ーー旅行はやっぱり無理かな? 伊豆あたりなら一泊で楽しめるよ。
ーーそうね…でも、今の家庭の状況を考えると旅行は厳しいの…ごめんなさい。
ーー僕は直美さんが好きだ…おそらく、アニキよりも愛してる。
ーー私も好き…ずっと一緒にいたい。
ーー直美さんと一緒なら、地獄に堕ちてもいい。
ーー地獄…?
ーーああ、時々思うんだ。全てを捨てて、2人だけでどこかの田舎町で生きていけたら、どんなに幸せだろうって。
ーーダメよ。娘さんだってお孫さんを産んだばかりなんだから…。
ーー娘には夫もいるし、近所にはアニキやオヤジたちもいる。認知症が進んでも、不動産収入は入るし、資産だってアニキが守ってくれている。僕らがいなくなっても、ちゃんと生きていけるさ」
しみじみと告げる浩介さんを見ながら、直美さんは「この人と一緒に生きられたら、どんなに批難されても、地獄に堕ちてもいい」と思ったそうだ。
まとまったらお金を手にしたら…
直美さんは語る。
「今、浩介さんと将来のことを真剣に考えているんです。まずお義父さんが死んだら遺産が入る。私は長男の嫁であるとともに、お義父さんの養女としての手続きもとっています。そして、浩介さんにも財産が入る…。
まとまったお金を手にしたら、夫に離婚を切り出すか、何も言わず浩介さんと2人で見知らぬ土地に駆け落ちしたいなって…。
私はパートでも何でも働くつもりですし、浩介さんには水道修理の技術がある。家族にとっては最悪の事態でしょうが、毒を食らわば皿まで。とことん地獄に堕ちる覚悟で不倫を続けています。
明日のことなどわかりません。だからこそ今、浩介さんとの愛を貫きたいんです。私にとって、おそらく最後の恋愛になるでしょうね。どんな試練にも立ち向かうつもりです」
そこまで言うと、直美さんは切なげに、しかし、幸せを滲ませながら微笑んだ。
その表情には女の覚悟が宿っている。
「彼となら地獄に堕ちてもいい」と言える男性と巡り合った直美さん。
筆者は、彼女の幸せを祈るばかりだ。
(了)
(蒼井凜花/作家・コラムニスト)