トランプ関税の交渉カード「コメの輸入枠拡大」が日本の農業を潰すワケ
トランプ関税の交渉カードとして、米国産トウモロコシや大豆とともに政府が検討すると言われているのがコメの輸入枠拡大だ。備蓄米放出後も価格の高止まりや在庫の枯渇感が解消されない中、主食米の輸入拡大は需給や相場の安定に貢献するため、両国にとってウィンウィンな取引との声が一部で上がっている。
「価格高騰のため、国産米から切り替える動きを見せている外食チェーンなどから、輸入米への要望が多いのは確かです」(米流通評論家の常本泰志氏)
日本は1994年にGATT(関税及び貿易に関する一般協定)のウルグアイ・ラウンドで合意されて以来、ミニマムアクセス(MA/最低輸入機会)として77万トンのコメを関税ゼロで輸入している。だが、昨今のコメ不足からMAの主食用米10万トンとは別に、民間業者が独自に輸入しているコメは、今年4月時点で4万トン程度。昨年比で20倍ほど増えているという。
「今のところ、現状の輸入枠内で米国産米を6万トン程度増やす案が報じられています。しかし、2025(令和7)年産米の相場が高水準となった場合、7月の参院選後、米国との関税交渉の材料としてMAの拡大を打ち出す可能性がささやかれ始めています」(常本泰志氏)