「ゼロ」堀江貴文著

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■凡庸な優等生がなぜ「ホリエモン」を生んだのか

 2006年1月、証券取引法違反の容疑で逮捕された著者は2年6カ月の実刑判決を受け、11年6月に収監、長野刑務所に服役し、今年の3月末、仮釈放となる。

 学生時代にIT企業を起業してから逮捕まで、天国から一気に地獄に突き落とされたような激しい10年間に築き上げた会社、社員、信用、資産のほとんどを失い、ゼロ地点に立ち返った著者が、これまで語ることのなかった幼少時代や中高生時代のことを明かし、今こそ伝えたい自らの思いをつづったもの。

 両親は不仲で、百科事典ばかり読む孤独な少年時代。新天地と思った県下有数の中高一貫の進学校に入ったものの、居場所を見つけられずパソコンに熱中した中高生時代……。ここで語られるのは、さほど裕福でない地方の優等生が歩む凡庸な物語だ。後半に説かれる人生訓も凡庸の域を出ていない。なのになぜ「ホリエモン」が生まれ得たのか。逮捕後の現在もその著書がベストセラーの一角を占めているのはなぜか。著者のこれからの生き方自体が、その答えを出すのかも知れない。

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